マジックパンクTRPG

はじめに

単位と暦

“異世界マルクト”における計量単位と暦は、旧世より学会によって厳格に管理された規格に基づいている。

これらは魔術的な儀式やMa-GEARの設計に不可欠な要素であり、市民生活にも深く根付いている。

魔術の技法が確立される前は、国や地域ごとに異なる単位が使われていたが、物質固定化の魔術が付与されたメルク原器およびグラル原器が開発されて以来、世界共通の単位として用いられるようになった。

ゲーム中の単位と暦の扱い

『マジックパンクTRPG』の舞台となる異世界マルクトでは、独自の単位系や暦が使用されている。

しかし、遊びやすさを優先し、プレイヤーおよびGMは現実世界の単位(メートル、グラム、リットル)や日付を使用してもよい。

世界観の没入感を高めたい場合、あるいはキャラクターとしてのロールプレイにおいて、以下の設定を使用することを推奨する。

マルクトの単位

基本単位

日常生活で頻繁に使用される、長さ・重さ・容量の単位である。

Melk Icon

m

メルク (Melk)

由来:古語の「Meitar(測り縄)」に由来する。

1 メルク ≒ 1 メートル

Gural Icon

g

グラル (Gural)

由来:古語の「Goral(小石)」に由来する。

1 グラル ≒ 1 グラム

Litra Icon

l

リトラ (Litra)

由来:古語の「Litra(器)」に由来する。

1 リトラ ≒ 1 リットル

接頭辞(スケール)

単位の桁を表す接頭辞は、現実世界の「キロ」や「ミリ」とは異なる独自の呼称を持つ。

マクロの単位は魔術文字の数詞に、ミクロな単位はセフィラに由来している。

拡大 (Macro)

記号 倍率 読み
A 103 アレフ (Alef)
B 106 ベト (Bet)
G 109 ギメル (Gimel)
D 1012 ダル (Dal)
E 1015 ヘー (He)
W 1018 ヴァヴ (Vav)
Z 1021 ザイン (Zayin)
H 1024 ヘト (Het)
T 1027 テト (Tet)
Y 1030 ヨド (Yod)

縮小 (Micro)

記号 倍率 読み
m 10-3 マル (Mal)
y 10-6 イソ (Yeso)
h 10-9 ホド (Hod)
n 10-12 ネト (Net)
t 10-15 ティフ (Tif)
g 10-18 ゲブ (Gev)
s 10-21 セド (Sed)
b 10-24 ビナ (Bina)
c 10-27 コク (Chok)
k 10-30 ケト (Ket)

単位換算ツール

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セフィロト暦

異世界マルクトでは、星樹セフィロトのセフィラを基にした「セフィロト暦」によって管理されている。

1年は12ヶ月、1ヶ月は30日、1週間は10日で構成され、1年は360日で完結する。

週間構造(デカド)

1週間は10日間あり、「デカド(Decad)」と呼ばれる。

「相日(Phase Day)」という呼称が用いられ、聖域都市での労働サイクルは「3日稼働・1日休・4日稼働・2日休」が基本となっている。

日数 相日名 区分 市民生活の例
1日 冠相日(Cronday) 平日 週の始まり。会議や集会が行われる。
2日 智相日(Wizday) 平日 研究やアイデア出しが行われる。
3日 理相日(Rezday) 平日 おもに実務作業を進める。
4日 慈相日(Mersday) 休日 中休み。休息と暴飲暴食が許容される。
5日 峻相日(Sevday) 平日 監査や取り締まりが行われる。
6日 美相日(Belday) 平日 アウトプットやレビューなどが行われる。
7日 勝相日(Vicday) 平日 今週の実務作業の大詰め。残業が多い。
8日 栄相日(Gloday) 平日 今週の業務の振り返りや分析が行われる。
9日 基相日(Fonday) 休日 家族や身内と過ごすための休日。
10日 王相日(Remday) 安息日 完全な安息日。都市への魔力供給も絞られ、商店の営業も休止されるため、外出は減る。

年間カレンダー

共鳴日

各月の月番と日付が重なる日(1月1日など)は「共鳴日」と呼ばれる。
市民にとっては“失楽園パラダイスロスト ”以前の記憶を継承する伝統行事であるが、“学会アカデミア ”(および聖域管理局)にとっては大規模魔術儀式による都市機能の調整日となっている。

1月1日
光冠祭 Crown Festival

概要・行事

1年の始動日。第6区の管理塔および全域の魔導照明が最大出力となり、都市は人工的な白夜に包まれる。市民はこの強烈な光の下で新年の“誓い”を立てる。

背景・伝承

都市内に澱んだ魔煌の歪みを光で焼き払う浄化の側面を持つ。かつて地上を照らした太陽の輝きを再現し、人類の生存圏を再定義する意味が込められている。

星樹教の儀式:光滴の洗礼

司祭が“煌晶儀杖プリズム・ケイン ”を用いて膨大な光を集光する儀式。集められた魔力は信徒の額に“光の聖印ルミナス・サイン ”が描かれる。これはセフィロトの頂点から流出する“最初の魔力”の分配を意味し、この紋様を持つ者は1年の間、星樹教会における優遇措置を受けられる。

聖域都市の影

前夜の停止状態からの急速な再起動に伴い、システムエラーやラグが発生し、一部区画が一時的な“暗がり”に取り残されることがある。この闇や祝祭の混雑に乗じたスリ・強盗が多発するほか、裏社会では“誓い”にかこつけた組織への忠誠儀式(盃事など)が盛んに行われる。

2月2日
機巧の日 Day of Machina

概要・行事

2区(学術研究区)や3区(産業区)で技術見本市が開催されるほか、市中の工房では不調のMa-GEARや乗物の修理依頼が殺到する。

背景・伝承

機械文明全盛期のクラフトマンシップとアニミズムが習合した風習。“動くものは祝い、壊れたものは癒やす”という精神に基づく。

星樹教の儀式:歯車の聖別

技術司祭テクノ・プリースト が街を巡回し、市民のMa-GEARや義体の駆動部に聖別されたオイルを塗布する。物に宿る悪しき“付喪神”を鎮めるとされるこの聖油には、実際に高品質な添加剤が含まれており、機器の動作の安定化を図る実利的なメンテナンス活動となっている。

聖域都市の影

正規ルートに乗せられない違法改造品イリーガル・マギア の闇市が立つ。また、修理や点検を装った産業スパイ活動、整備不良に見せかけた暗殺工作が増加する。

3月3日
礎の日 Foundation Day

概要・行事

インフラ労働者や恩師への感謝日。気候制御された各所の広場や公園でのランチが推奨され、人工食 シンセ・フード を重ねた「レイヤーサンドイッチ」が振る舞われる。

背景・伝承

旧世の「勤労感謝」や「母の日」が統合された祝日。社会の“土台”を再認識し、相互扶助を確認する日とされる。

星樹教の儀式:根への灌水

防護服を纏った司祭団が、通常立ち入り禁止の地下インフラ層へ降り、魔術的な“聖浄液 クリアランス・ウォーター ”を散布する。都市を支える“根”の穢れを祓う宗教行事だが、実態は地下施設の定期点検であり、不法居住者や危険生物の掃討任務も兼ねている。

聖域都市の影

労働者の結束が強まるため、ストライキや反学会デモの温床となる。保安局は警戒レベルを引き上げるが、スラムでは配給食を巡る暴動や食中毒事件が頻発する。

4月4日
大共宴 The Grand Banquet

概要・行事

3区(産業区)主導のセール期間。“富は巡らせるもの”として消費が煽られ、酒場では“見知らぬ人への一杯”を奢り合う。

背景・伝承

人類がかつて持っていた“隣人愛”や“施し”の再現。商業的には、年度初めの在庫一掃と資金流動化という側面が強い。

星樹教の儀式:循環の天秤

大聖堂広場に“黄金の天秤ゴールド・スケール ”が設置される。富める者は魔貨(Mj)を寄付し、貧しい者はそこから受け取る。魔煌(金)の滞留を罪とする教義の実践だが、天秤は教会側に有利に調整されており、多額の手数料が運営費として徴収される。

聖域都市の影

“奢り合い”は睡眠薬強盗や誘拐の隠れ蓑となる。莫大な金の動きを狙う詐欺や強盗が活発化し、借金のカタに売られる者も少なくない。

5月5日
鋼鉄のパレード Steel Parade

概要・行事

10区(軍事区)の聖域軍と保安局による武力展示パレード。市民の間では“悪縁切り”の日とされ、契約解除や断酒などの決意を行う。

背景・伝承

起源は“悪しきものを断つ”厄払い。現代では学会の武力を誇示し、規律と服従を再認識させるプロパガンダ装置として機能している。

星樹教の儀式:茨の断絶

信徒が持ち寄った“断ち切りたい因縁”を書いた黒紙を、司祭が儀礼用の“炎熱剣 パイロブレード ”で両断し焼き払う。これは魂の剪定を意味すると同時に、公的な“契約解除”の代理手続きでもある。法的な拘束力を伴う清算が、儀式を通じて強制的かつ円滑に処理される。

聖域都市の影

パレードはテロリストの標的となりやすく、逆に警備が手薄になった他区画では犯罪が増加する。組織からの“足抜け”を巡る血なまぐさい抗争もこの日の風物詩だ。

6月6日
大共鳴 The Great Resonance

概要・行事

都市名を冠する折り返し日。6区(中枢区)を中心に大規模な音楽祭が開催され、音と光が都市を満たす。

背景・伝承

音響と魔煌の波長を同調させる集団セラピー。“心を通わせる”というロマンチックな伝承は、市民のガス抜きとして推奨されている。

星樹教の儀式:調和の斉唱

都市全域のスピーカーやM-Phoneへ強制介入し、星樹教の聖歌(特定周波数のハミング)を一斉放送する。市民はその場で静止し、和音を合わせるよう推奨される。これは個々の魂を都市結界の周波数に同調させる儀式であり、興奮した群衆を鎮める音響管理システムの一環である。

聖域都市の影

大音量は銃声や悲鳴をかき消すため、暗殺や抗争の決着に利用される。また、興奮状態に乗じて違法な魔煌ドラッグや魔薬が蔓延しやすい。

7月7日
星追いの祭典 Star Chaser Festival

概要・行事

7区(娯楽区)を中心とした都市レース。開放された公道で改造ヴィークルが速さを競い、合法的な賭博が開帳される。

背景・伝承

かつて空の星を目指した時代の名残。閉塞した管理社会における“勝利”への渇望を満たすカタルシス装置である。

星樹教の儀式:彗星の加護

レース参加者に、蛍光塗料で「勝利のルーン」を描く有料サービスが提供される。これは速度を肯定する祈りであると同時に、微弱な物理障壁や慣性制御の魔術式付与でもある。事故率を下げ生存率を高める、実質的な保険商品として機能している。

聖域都市の影

事故による死傷者は日常茶飯事であり、観客の巻き添えも多い。裏では莫大な賭け金が動き、八百長や妨害工作(実力行使)が横行する。

8月8日
魔術芸術夜 Magical Art Night

概要・行事

夜空に魔術的な光の紋様を描く“術式花火”のコンテスト。市民は夜通し鑑賞し、知的な議論や創作に没頭する。

背景・伝承

“知性こそが人の栄光”とする思想に基づき、魔術の進化を祝う。火薬を使わない点は、環境・治安維持の観点からも合理的とされる。

星樹教の儀式:真理の筆写

司祭が“魔煌筆イルミネイター ”を操り、空中のスクリーンへ聖典や術式を高速記述するパフォーマンス。「言語化された信仰こそが世界を定義する」という教義の具現化である。

聖域都市の影

未完成術式の暴走事故や、新技術の盗用、研究者の誘拐といった知的財産犯罪のリスクが高まる。

9月9日
幻影舞踏会 Phantom Masquerade

概要・行事

都市全域に魔導幻影ホログラム による装飾が施され、市民は仮装して街を練り歩く。無礼講とされ、身分を隠した交流が行われる。

背景・伝承

死者や精霊が還る“精霊祭”とカーニバルの融合。堅固な現実(基盤)を一時的に揺らがせる、社会的安全弁としての役割を持つ。

星樹教の儀式:鏡面の告解

顔のない“鏡の仮面”をつけた司祭が、同じく仮面をつけた信徒の告解を受け付ける。正体を明かさぬまま魂の深層をさらけ出すことが許されるが、告解室には高性能音声解析ASが設置されているとも噂され、反逆の兆候は秘密裏にモニタリングされている。

聖域都市の影

仮面は犯罪者の素顔も隠す。指名手配犯が堂々と闊歩し、フィクサーが取引を行う。身元不明の死体が増える日であり、翌朝には人が“幻影のように”消えていることも珍しくない。

10月10日
王国の市 Kingdom Market

概要・行事

1年で最大の物流祭。聖域都市全域の市場に人工食品から野外アウトランド 回収品、さらには10区(軍事区)からの軍用放出品まであらゆる物資が溢れ、市民は購買に興じる。本来、毎月10日は王相日(安息日)だが、この日だけは特例として安息日の禁忌が解除され、富を動かすことが推奨される。

背景・伝承

旧世の「収穫感謝祭」の再現。物質的欠乏が常態化した聖域において、“物がある”安心感を与えて不満を抑制する。

星樹教の儀式:土の十分の一税

商人が商品の“最初のひとつ”あるいは“売上の10%”を祭壇へ捧げる儀式。物質は星樹からの貸与品であり、一部を還すことで循環が保たれるとする。供物は表向きスラムへの施しとされるが、希少品は教会上層部や学会への賄賂として横流しされるのが公然の秘密である。

聖域都市の影

外部からの搬入品に“魔煌汚染”やウイルスが付着しているリスクがある。また、スラムでは格差への不満から略奪が発生することもある。

11月11日
影解きの夜 Night of Shadow Solving

概要・行事

表向きは謎解きイベントなどのレクリエーションだが、実態は会員制の闇市や秘密情報の売買が行われる、“秘密市シークレット・マーケット”が開催される。

背景・伝承

隠されたセフィラ「ダアト」に触れる日。知識欲を満たす行事だが、深入りには相応のリスクが伴う。

星樹教の儀式:深淵の封緘

黒い箱(ブラックボックス)を持った司祭が巡回する。市民は“知ってしまった秘密”や“不吉な予感”を紙に書いて箱へ封印し、忘却の救いを得る。これは教会による自発的な密告システムであり、回収された情報は危険思想の摘発や弱みの収集に利用される。

聖域都市の影

禁書、ドラッグ、人身売買リストなど、触れてはならない情報が流通する。探偵や情報屋の稼ぎ時だが、知りすぎた者が口封じに遭うリスクも最大化する。

12月12日
還無の日 Day of Return

概要・行事

1年で溜まった“不要なもの”を処分し、全てを無に還す日。各区画を教会が手配した巨大な“武装回収車アーマード・コレクター ”が巡回し、回収された物品はスラムとの境界広場に設置された巨大魔導焼却炉“虚無の釜 ヴォイド・ファーネス”へ一括して送られる。

背景・伝承

物質への執着を断ち切り、身軽になって新年を迎えるための浄化行事。通常はスラムの処理施設へ運ばれる廃棄物を、この日だけは魔術的に完全消滅させることが許される。

星樹教の儀式:モノ供養

虚無の釜ヴォイド・ファーネス ”の周囲で司祭が鎮魂の経を唱え、物品を“役目を終えた魂”として見送る。「釜の中身を見ない」という宗教的誓いにより、死体や証拠品の焼却であっても、読経の中で“宗教行為”として正当化ロンダリング される。これは、学会にとっても都合の悪い“実験廃棄物”や“失敗作”を処理する有用な機会であるため、当局によって黙認されている。

聖域都市の影

「燃やせば証拠は残らない」。犯罪証拠品や禁制品、時には遺体すらもが、喧騒と炎に紛れて処理される。本来なら4区の墓地に埋葬されるべき死者も、この日は闇から闇へと葬るための“ゴミ”として扱われる。

12月30日
大安息日 Grand Sabbath

概要・行事

1年最後の王相日(安息日)。日没と共にメインジェネレーターが待機状態アイドリング へ移行し、都市は完全な闇と静寂に包まれて新年(光冠祭)を待つ。

背景・伝承

“失楽園”以前から続く、光を失った恐怖と再生への祈りを込めた儀式。物理的には、酷使されたインフラを冷却・再接続するためのメンテナンス期間でもある。

星樹教の儀式:不灯の行

教会および信徒の家では一切の照明・熱源の使用が禁じられ、暗闇の中で沈黙を守る。原初の闇を体験し、光(魔煌)への感謝と信仰心を高める修行とされるが、社会的には再起動に必要な出力を確保するため、市民活動を強制停止させる措置である。

聖域都市の影

セキュリティと結界強度が最低レベルまで低下する“無防備な数時間”。カルト教団の儀式やテロリストの破壊工作を警戒し、闇の中では聖域管理局や非番の保安官が目を光らせている。

マジックパンクTRPG