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観測者以外の人々は、虚構侵蝕によって現実が歪められたとしても、“歪められた現実”に違和感を覚えることなく現実として認識してしまう。これは、“歪められた現実”だとしても“現実”であること変わりはないからだ。
観測者が“観測者”と呼ばれる理由は、虚構侵蝕が発生した際に“それ以前の現実と虚構侵蝕によって歪められた現実の差異”を観測できるためである。
そして、観測者は虚構侵蝕に触れ、虚構侵蝕を識り、虚構侵蝕に身を置き続けることで、現実からどんどん遠ざかっていく。
発生している[虚構侵蝕]の内容は、必ずしも発生した瞬間に明らかになるわけではない。目に見える現象として影響が現れているならともかく、一見して影響が分からないこともあるのだ。
しかし、観測者はちょっとした景色の揺らぎや違和感などから敏感に[虚構侵蝕]の進行の度合いや影響を感じ取ることができる。
虚構侵蝕を引き起こすトリガーとなった人・物・場所のことを“虚構核”と呼ぶ。
虚構侵蝕が発生していれば、その原因となる虚構核は何らかの形で必ず存在することになる。
この虚構核を破壊・変質・説得などすることで虚構侵蝕は収束し、やがて消滅する。
虚構侵蝕の影響は、ときに文明の大きな変化や技術レベルの変化をもたらすことがある。
そのような状況にあって、周囲の建築物や物品がいかに変化しようとも、基本的に観測者の所持品が変化することはない。
ただし、まれに観測者の所持品をも強制的に変化させてしまう特別な法則を持った虚構侵蝕も存在する。
このように、特別な法則によって所持品が変化してしまう場合でも、データの内容は修正・変更されることはない。
変化してしまった所持品で、どのように元のデータにある効果を発揮できるかは、プレイヤーとGMとで相談して自由に決定してよい。
観測者が[虚構侵蝕]にどれだけ踏み込んでいるか、またはどれだけ現実から遠ざかっているかを段階的に表わしたものを[現実乖離]と呼ぶ。
[現実乖離]の段階は1~7段階まで存在する。
段階が上昇するほど、[虚構侵蝕]に関する情報をより多く持っていることになるが、[観測ロール]において[侵蝕度]が増加しやすくなる。
詳細は「現実乖離の段階表」を参照すること。
観測者の[現実乖離]の初期値は1段階とし、以下の条件を1種類満たすごとに1段階上昇する。
シナリオ中に条件を満たすことによって[虚構侵蝕]が進行していく。この[虚構侵蝕]が現実を侵蝕した度合いを数値で表わしたものを[侵蝕度]と呼ぶ。
[侵蝕度]の数値が高いほど、[虚構侵蝕]による現実の侵蝕が進んでいることを表わす。
[虚構侵蝕]が発生していれば、[侵蝕度]は必ず「1」以上の値をとる。
シナリオを開始した時点で侵蝕度は「0」から始まり、「侵蝕度の増減表」の条件で増減する。
[侵蝕度]の下限値は「0」となる。[侵蝕度]の上限値は存在せず、いくらでも増加する可能性がある。
観測者がシナリオ中に虚構を“観測”するたびに、[観測ロール]を行なう。
[観測ロール]が発生した場合、観測者はそれぞれ[現実乖離]の段階で定められた観測ダイスを1個振る。その後、観測者全員の出目を確認し、最も高い出目に等しい値だけ[侵蝕度]が増加する。
虚構世界の風景や人物、発生する現象など、観測者が虚構世界で“観測”したものが“現実”にどれだけ近いかを表わすレベルを[リアリティライン]と呼ぶ。[リアリティライン]のレベルは“ 現実” に近いほど高くなり、“現実”から遠いほど低くなる。[リアリティライン]のレベルについての詳細は下表「リアリティラインのレベル」を参照すること。
[リアリティライン]はシナリオで発生する[観測ロール]に組み合わせて適用される。シナリオでは、「観測ロール(RL1)」のように表記されている。リアリティラインのレベルを特に設定しなければ、自動的にレベル「3」として扱う。
[侵蝕度]が増加すると、[虚構侵蝕]が発生している地域にさまざまな影響をおよぼす。このような現象を[歪み]と呼ぶ。
[歪み]は[侵蝕度]の増加によって一定の数値に達することで次々と発生する。
[歪み]の内容は「歪み表」を参照すること。
[侵蝕度]が増加した結果、[歪み]が発生する数値に達した場合、即座に[歪み]の効果を適用する。
侵蝕度]が急激に増加して同時に2種類以上の[歪み]の発生条件を満たした場合、その[歪み]は同時にすべて発生する。
シナリオ中に何らかの効果で[侵蝕度]が減少したとしても、すでに発生した[歪み]はなくならない。
また、[侵蝕度]が減少した後にふたたび増加したとしても、すでにシナリオ中に発生した[歪み]がふたたび発生することはない。
[虚構核]の破壊・変質・説得など、シナリオに設定された条件を満たすことで、[虚構の収束]が発生する。
この[虚構の収束]の処理を終えれば[虚構侵蝕]は収束し、観測者は現実へと帰還することができる。
[虚構の収束]が発生したら、現在の[侵蝕度]を減少させるための処理を以下の手順で行なう。
観測者はそれぞれ、[しがらみ]の取得数だけ観測ダイスを振り、すべての出目を合計する。
このとき、[しがらみ]がひとつもない観測者は観測ダイスを振ることができない。
観測者はそれぞれ、[手札]が残っていればそれをすべて[捨札]にする。
観測者はそれぞれ、手順①で求めた出目の合計値と手順②で[捨札]にした枚数を合計して減少値とする。
減少値=観測ダイスの出目の合計+捨札の枚数
観測者全員の減少値をそれぞれ[侵蝕度]から減少させる。減少させた結果が99以下であるか否かで結果が変化する。
[侵蝕度]を減少させた結果が99以下であろうと100以上であろうと、[虚構侵蝕]が解除された時点で[侵蝕度]は「0」に変更される。
虚構によって深刻な[歪み]が生じた世界は、虚構が収束して現実に戻ったとしても、その影響が残滓として残ってしまう。
[歪み]の影響を受けた現実がどのように変わってしまうかは、GMとプレイヤーで相談して決めるとよい。
現実に戻った世界で、観測者が“観測”した世界が新たな現実となるのだ。
[虚構の残滓]が発生した状態でシナリオを終了した場合、観測者全員の[現実乖離]が1段階上昇する。
観測者が抱えている[しがらみ]は、観測者が[虚構侵蝕]に立ち向かううえで重要な意味を持つ。
観測者にとって、[しがらみ]は本来の現実に自身を繋ぎ留める楔となるのだ。
観測者は、いくつかの方法で[しがらみ]を取得できる可能性がある。ただし、観測者が同時に保持できる[しがらみ]の数は合計で「【精神】÷4」個までとなる。
[しがらみ]を保持できる数を超えてさらに1個取得するたびに、すでにある[しがらみ]から1個選択して消去すること。
観測者は、「キャラクター作成」の際に[しがらみ]を1個取得する。
シナリオ内で条件を満たすことで[しがらみ]を取得できる可能性がある。
観測者の持つ[しがらみ]を断ち切ることで自身の現実への未練を捨て去り、虚構の力を掌握する。
[しがらみを断ち切る]は、虚構侵蝕が発生してから[虚構の収束]の直前までの任意の時点で宣言できる。
宣言した場合、観測者の持つ[しがらみ]をひとつ選択して消去する。その後、フィクションカードを[山札]から3枚引いて[手札]にする。
この宣言は[しがらみ]を所持している限り何回でも行なえる。
現実乖離の段階表 | |||
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段階 | 観測ダイス | 状態 | 観測者が持つ虚構侵蝕に関する情報 |
1 | D4 | [虚構侵蝕]を噂として知っているが、半信半疑である。 | ①:現実の一部が映画世界で上書きされる虚構侵蝕という現象がある ②:虚構侵蝕に巻き込まれた人の記憶や常識、メモや機械などの記憶は最初からそうであったように改変される ③:虚構侵蝕を観測・認識できるのはごく少数の観測者と呼ばれる人やモノだけである ④:虚構侵蝕には虚構核と呼ばれる原因(人、物、場所)が存在する ⑤:虚構核を(破壊・変質・説得)することで虚構侵蝕は消える |
2 | D6 | [虚構侵蝕]に“怖いもの見たさ”を感じている。 | ⑥:虚構侵蝕後の世界からでもVER-THにアクセスできる ⑦:虚構侵蝕の中では特殊な力(フィクションパワー)を扱える人やモノがいる |
3 | D8 | [虚構侵蝕]が存在する世界を受け入れている。 | ⑧:フィクションパワーや意志による現実改変(フィクションカード)を使用すると、虚構侵蝕の度合い(侵蝕度)が進む ⑨:侵蝕度が進むと、現実に戻れなくなる可能性がある |
4 | D10 | 時々、ここが虚構か現実かが分からなくなることがある。 | ⑩:長期間、虚構侵蝕を放置すると一部が現実に定着してしまう場合がある |
5 | D12 | 虚構に惹かれ、現実よりも虚構のほうが心地よいとすら感じる。 | ⑪:フィクションパワーの種類を把握している |
6 | D20 | 現実に戻りたくない。できるだけ長く虚構の世界に居続けたい。 | ⑫:虚構侵蝕の根本にある大いなる存在を感じる |
7 | - | 虚構を完全に受け入れ、現実と決別する(NPC化する)。 | 情報なし |
侵蝕度の増減表 | |
---|---|
条件 | 侵蝕度の増減 |
フィクションカードを使用して[現象の上書き]を行なった | 侵蝕度に+5する。 |
フィクションカードを使用して[現象の歪曲]を行なった | フィクションカード1枚につき侵蝕度に+1する。 |
観測者(虚構核を除く)が行なう判定で[ファンブル]が発生した | 侵蝕度に+1Dnする。 ※nは判定のダイスサイズ |
観測者(虚構核を除く)がフィクションパワーを使用した | 使用したフィクションパワーの「侵蝕度増加」の値だけ侵蝕度が増加する。 |
シナリオ中に[観測ロール]が発生した | 観測者全員が観測ダイスを1個振り、それぞれの出目の中で最も高い値だけ侵蝕度が増加する。 |
シナリオ中に[虚構の収束]が発生した | 観測者は個別に観測ダイスを[しがらみ]の数だけ振り、出目の合計値だけ減少する。 |
シナリオ中に[侵蝕度]が増減するイベントが発生した | イベントに従う。 |
リアリティラインのレベル | ||
---|---|---|
レベル | 観測する風景・人物・現象など | 観測ロール |
3 | 現実と同等のリアリティを持った風景や人物。現実の物理法則で発生し得る現象。特殊な映像効果を用いていない、実写の映像作品全般。 | ±0個 |
2 | 現実と同等の風景にアニメーションやマンガ的表現の風景・人物・現象が入り交じる。 例:爆発のアニメーション、擬音文字の具現化、空中にアニメ調の魚が泳ぐ |
+1個 |
1 | 風景・人物・現象が完全にアニメーションやマンガ的表現になる。 例:世界が3DCGになる、世界が2Dアニメーションになる、世界が劇画調になる |
+2個 |
歪み表 | |
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侵蝕度 | 歪み |
0 | 観測者は現実への影響がまったくないと感じている。 |
5 | 観測者の周囲の景色が刹那に揺らぐ。 効果:観測者は[歪み]が発生していることをはっきりと認識する。 |
10 | 観測者は虚構と現実の境目が曖昧になる。 効果:観測者は[山札]から1枚引き[手札]に加える。 |
20 | 観測者は虚構と現実の境目が一瞬分からなくなる。 効果:[手札の交換:1枚以上]を行なう。 |
30 | 観測者は虚構からの拒絶の意思を感じる。 効果:観測者はそれぞれ観測ダイスを1個振り①②のいずれかを選択する。 ①:出目に等しいダメージを受ける ②:出目に等しい値だけ[侵蝕度]を増加させる。 |
40 | 観測者は虚構を現実だと錯覚することが多くなる。 効果:観測者は[山札]から1枚引き[手札]に加える。 |
50 | 観測者は虚構が自らと混じり合っていくのを感じる。 効果:シナリオの間、観測者はすべての判定のダイスに+1個する。 |
60 | 観測者は虚構が侵蝕するさまに惹きつけられる。 効果:観測者は[山札]から1枚引き[手札]に加える。 |
70 | 観測者は虚構と現実が溶け合い、すべての現象が曖昧になっていくのを感じる。 効果:シナリオの間、判定が発生するたびに、その判定の難易度は[山札]から1枚引いたカードのナンバー(最小で元の難易度)に変更される。 |
80 | 観測者は虚構と現実の違いが分からなくなる。 効果:[手札の交換:すべて]を行なう。 |
90 | 観測者は虚構と混じり合い、万能感を覚える。 効果:シナリオの間、観測者はすべての判定のダイスに+1個する。 |
100 | 観測者は虚構と現実が完全に溶け合い、景色や事象は常に移ろう。 効果:シナリオの間、([侵蝕度]70の代わりに)判定が発生するたびに、その判定の難易度は[山札]から2枚引いたカードのナンバーの合計(最小で元の難易度、最大20)に変更される。 |