虚構侵蝕TRPG

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虚構侵蝕の法則:アニメ

アニメ作品には実写映画に比べて多種多様な表現が存在する。ゆえにアニメを題材作品とした虚構侵蝕では新たな法則が働いている場合がある。

これらの表現はフィクションパワーやフィクションカードで再現されることがほとんどだが、シナリオ上の演出として表現される場合もある。

ただし、これらは基本的な法則に過ぎず、シナリオ単位で変更される可能性がある。

追加法則

アニメ作品を題材にした虚構侵蝕の場合、世界がイラストのようになる場合もあるし、現実と変わらない場合もある。

世界がイラストのようになる場合、奥行きが存在せず平面のみで世界が構成される可能性がある。当然、観測者も平面になるため、それによるルール的なボーナスやペナルティはシナリオ単位で設定される可能性がある。

理法則の変化

虚構世界の物理法則は現実とは異なる場合があるが、同一の虚構世界内でも、時間経過や場所移動、演出によって物理法則そのものが変化する場合がある。

分かりやすい例として、真空中や乗り物越しでの会話、落下にかかる時間、物体の耐久度などが挙げられる。

そしてこれらは、必要があれば元の法則に戻る場合もある。多数のアニメ作品で“ご都合主義”と呼ばれるものの再現である。

これによるデータの変更に関しては、シナリオ単位で設定される可能性がある。

体の形状

実写作品が題材の場合、観測者の所持品は虚構世界でも現実と変わらない形状として認識できる。木刀は木刀のままだし、鍋の蓋はしょせん鍋の蓋だ。

これに対しアニメ作品を題材とした場合、作品世界や能力に合わせて形状が変化する場合もある。

現実世界では傘だったものが虚構世界では槍として扱える、木刀が日本刀になる、鍋の蓋が盾になる、など。

ただし、形状が変化してもデータは変わらない場合がほとんどである。

測者の身体的状態

アニメ作品においては、登場キャラクターが通常では考えられない状態でも、問題なく活動する様子が散見される。

例えばローラー車に轢かれてペラペラになる、周囲の建物を破壊するほどの爆発に巻き込まれて黒焦げになる、銃撃で眉間に穴が空く、そのような状態になっても痛みを感じる程度で(ときにはそれすらもなく)キャラクターが生存している作品は多い。

そういった作品を題材にしたシナリオでは、観測者も作品内のキャラクター同様、非常識な状態に陥っても生存している場合がある。

演出のみにするか、通常より少ない影響にするかに関してはシナリオ単位で設定され得る。

ータ変動

バトル系アニメ作品に見られる演出として、修行や新装備などに頼らない急激な能力強化がある。

仲間や愛する人が傷つけられたことに怒りを覚える、ネガティブな過去を振り切って迷いが無くなる、仲間たちから思いやエネルギーを託されるといった演出などだ。

これらは[フィクションパワー]や[フィクションカード]、[しがらみ]を断ち切ることである程度は再現できるが、アニメ作品を題材にしたシナリオ特有の法則として再現される場合もある。

一存在

アニメ作品特有の展開として、テレビ放映版、OVA版、劇場版などほぼ同時期に作られた同一作品にも関わらず、いくつかのバージョンが存在する場合がある。

もちろん実写映画においてもリメイクなどで数バージョン存在するものはあるが、アニメ作品ではそれよりもやや複雑な形態をとることがある。

例えば原作ありのアニメ作品の場合、原作を元にしたOVA、オリジナルのストーリーやキャラクターを追加したテレビ版、原作のキャラクターを使いながらストーリー的にはテレビ版の延長線上にある劇場版……というように複雑極まりない場合もある。

上記のような展開をした作品が虚構侵蝕の題材となった場合、すべてのバージョンが適用される可能性がある。

その場合、1 人のNPCが数バージョン登場したり、そもそもバージョンの数だけ似たようなNPCが登場したりする場合もある。題材作品は分かったもののバージョンはどれか分からない……という状況も発生するとうことだ。

NPCや舞台設定のみに留まらず、PCたちのバージョン違いが存在するという場合もあるだろう。

そういった存在が持つ記憶や性格がPCとどの程度共通性があるかは、シナリオ単位で設定して構わない。

り返す時空

長時間テレビで放送されているアニメで、次のような奇妙な時間法則が見られる。登場キャラクターたちが歳を重ねない、もしくは誕生日を祝う回や年末年始を過ごす回で1年が経過したことになっているが、次回では何事もなく元の年齢や年月に戻っているというものだ。

これは各回の話作りのために時事などを取り入れつつも、長期間放映し続けるために登場キャラクターの時間を経過させてはいけないという二律背反的状況から発生しているもので、ご都合主義のひとつと言ってよいだろう。もちろん、作品によってはそもそもの物語の仕掛けとしてこういった時間法則が適用されている場合もある。

当該アニメ作品を題材とした虚構侵蝕でも、このような現象が発生する可能性があり、全員が影響を受ける場合、観測者だけ通常通り時間が経過する場合など、いくつかのパターンがある。

時間がループしているのか、ループ前の記憶はあるのか、キャラクターの時間が停止しているのか、その虚構侵蝕で働いている法則を見極めることで、行動や判断に大きく影響を与えることになるだろう。

実写映画とアニメ作品の大きな違いとして、姿と声が別々に作られているということが挙げられるだろう。

もちろん実写映画のなかにも後から声を入れるタイプのものもあるが、アニメ作品に関しては、登場キャラクターがしゃべる場合は必ず声優が存在する。

アニメーションで描かれた姿と声優が吹き込む声、このふたつが揃って初めてキャラクターとして成立するのだ。

しかし、声優に関してはさまざまな事情により交代する場合もある。

特に数十年にわたって放送されている作品は、アニメーションで描かれたキャラクターは年を取らないのに、声優が歳を重ねることによって姿と声が乖離していく場合や、引退などで継続することが不可能になる場合がある。その場合、新しい担当声優と交代することがほとんどだ(まれにキャラクターそのものが居なくなる場合もある)。そうなると、ひとつのキャラクターに声質が複数存在することになる。

これは虚構侵蝕内においても法則として再現される場合があり、時には登場キャラクターの声から題材作品の時期を判断するというような状況もありうる(もちろんアニメーションも時代とともに変わっていくが、一般的には声の方がより変化を感じやすい)。

また、前述のバージョン違いの法則とあわせることで、より多数のバージョンを生み出すこともできるだろう。

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