虚構侵蝕TRPG

ルールブック

虚構侵蝕の法則:神話

追加法則

の定義

虚構侵蝕においては、神話の神々といえども虚構体に過ぎない。そのため、神話を題材とした虚構侵蝕のたびに神が発生する可能性があり、同名の神が複数存在していても不思議ではない。また、その能力は発生した虚構侵蝕により変化し得る。

ただし、長い歴史を誇る神話は、過去に多くの虚構侵蝕を発生させている可能性が高く、発生した虚構侵蝕が問題なく収束した割合は、観測者間の情報共有能力や調査能力が現在と比べて著しく低かったことから、相当に低いと考えられる。

よって、神話に関わる[虚構の残滓]や虚構侵蝕の定着が多数発生し、“神”のオリジナルに近い虚構体が現実でも(相互作用的に虚構侵蝕内でも)強大な存在となっている可能性は高い。

の使命

虚構侵蝕において観測者は、神の使徒もしくは神そのものとして他の神から使命や力を与えられることがある。

時に、与えられた使命や力が観測者自身の中に[虚構の残滓]として残り続け、虚構侵蝕に遭遇するたびに観測者がその影響を受ける場合もある。

北欧神話におけるヴァルキュリアとしての役割を与えられた観測者や、仙人の弟子として修業を求められるようになった観測者などもおり、いくつかの虚構侵蝕において神により使命を授けられるという事象があったと報告されている。

観測者の記憶

特定のアーティファクトが虚構核または直接の原因となって発生した虚構侵蝕における非観測者の記憶は、同アーティファクトが関与した別の虚構侵蝕に引き継がれる場合がある。

非観測者がどれほど記憶しているかは多様で、はっきり細部まで覚えている場合もあれば、夢として認識している場合もある。

き継がれる状況

前述の「非観測者の記憶」とほぼ同様だが、特定のアーティファクトが虚構核または直接の原因となって発生した虚構侵蝕における状況は、同アーティファクトが同様に関与した別の虚構侵蝕に引き継がれる可能性がある。

アーティファクトAが引き起こした虚構侵蝕でビルを爆破した場合、その収束後、同じくアーティファクトAが原因で発生した虚構侵蝕内で、爆破されたあとのビルを発見するということがあり得る。

もちろん、すべてが引き継がれるのではなく、一部分だけ引き継がれる場合もある。

このように、他の虚構侵蝕で発生した変化を発見することによって、同じアーティファクトの関与を推測することもできるだろう。

実に定着した虚構体

前述のように、[虚構の残滓]で現実に定着した虚構体は、観測者であっても区別がつかない場合があるほど“現実の一部”として認識される。

当然、非観測者からは、見た目が現実離れしていたとしても“現実である”と認識され、ほかの人間と同様に扱われる。

その中には、普通の人間としてパートナーと子を残す者もおり、その子には虚構体としての特性が引き継がれる場合がある。直系の子に虚構体としての特性が見られなくても、孫やひ孫などに“隔世遺伝”することがある。そのような場合、現実の人間同士から生まれた子供が虚構体としての姿や能力を持っているという一見奇妙な状況が生じる。

虚構体としての特性を持って生まれたとしても、非観測者であれば、自分が虚構体であることも特殊な能力を持っていることも気づかずに人生を終えることになるだろう。しかし、そのほとんどは、生まれつきの観測者であるか、成長の途中で観測者として“覚醒”することになる。

構侵蝕の中の虚構侵蝕

発生している虚構侵蝕の範囲内に、別の虚構侵蝕が発生することもある。

あとに発生した虚構侵蝕の扱いは、現実に虚構侵蝕が発生した場合と基本的に同じ(非観測者は認識できない、虚構核が存在する、条件を満たせば収束可能など)であるが、それぞれの虚構核はお互いの虚構侵蝕を(非観測者であっても)観測し干渉できる場合がある。

干渉できる場合、その干渉方法はさまざまで、一方の虚構侵蝕がもう一方の虚構侵蝕を乗っ取ったり、一部が融合したりすることがある。虚構侵蝕がもたらす厳しい環境から、小規模な虚構侵蝕によって身を守るというような状況もある。

また、ほかの虚構侵蝕内でのみ能動的に虚構侵蝕を発生させることができる能力を持つ者もおり、その中では独自の物理法則や概念を展開することも可能である。このような能力は、フィクションパワー、虚構体特性、権能、アーティファクトの延長線上にあるが、扱いが難しいため、特別な場合を除いてPCに与えない方がよい。自らの神話を持つ“神”の虚構体NPCやその敵対者にこそふさわしいだろう。

語の扱い

虚構侵蝕内にいる観測者は、基本的に言語の違いによってコミュニケーションが取れなくなることはない。これは、虚構侵蝕内に存在している言語が虚構侵蝕で発生している“上書きされた現実”に過ぎず、その本質を“観測”できる観測者にとってはその違いが意味を持たないからである。

ただし、虚構核が(無意識でも)言語を複数発生させたものに関しては、この限りではない。

また、観測者たちが習得していない言語で書かれた“虚構侵蝕によって上書きされていない文章”などの場合、虚構世界でも理解できない可能性がある。

すぎる寿命

虚構侵蝕では現実の物理法則や常識が通用しない場合がある。

その結果、虚構体ではない人間(観測者含む)が数百年、数千年という現実ではありえない長時間を生き続けるような虚構侵蝕も存在する。

発生した虚構侵蝕において“数百年を生きていた設定”になるのであれば、虚構が収束しても元の現実に戻るだけで問題ないだろう。一方、長時間継続している虚構侵蝕内で“実際に数百年を生き続けた”場合、虚構が収束して元の現実に戻ってしまうとどうなるだろうか。

当然、現実では人間の寿命は100年を少し超える程度が限界で数百年も生き続けることはできないため、虚構侵蝕と現実の時間の流れが同様、もしくは近い場合には死亡していることになる。

その現実に合わせるために、“数百年を生きてしまった人物”が遭遇する状況には、いくつかのパターンが存在する。

ひとつめは、“虚構が収束した瞬間に消滅する”パターンである。

これは現実側から見て極めてシンプルな状況である。

現実では当該人物(虚構侵蝕内で実際に数百年生きた人物)がすでに寿命で死亡しており存在しない。ゆえに消滅するだけである。

ふたつめは、“新しく虚構体として現実に定着する(虚構の残滓)”パターンで、現実において当該人物はすでに死亡しているため、別人として生きていくことになる。

このパターンにおいて当該人物は高確率で観測者だが、まれに非観測者でも発生する。

3つめは、“過去が改変され現在の人物になる(虚構の残滓)”パターンである。

ふたつめのパターンも虚構の残滓の産物であるが、こちらのパターンのほうが現実改変の度合いが高く、当該人物が生まれた頃から数百年分の記録や認識が新しい現実へと入れ替わることになる。当然、関与した観測者たちの[現実乖離]の上昇は免れないだろう。

以上の3パターンのうちどれに当てはまるかは、[侵蝕度]の状況、シナリオ単位での設定、GMの判断によって決定される。

構の残滓

虚構侵蝕が収束する際、虚構による侵蝕が進みすぎて現実にその影響が定着してしまう場合があり、これを“虚構の残滓”と呼ぶ。

また、虚構侵蝕が長期間にわたって収束されなかった場合、虚構侵蝕が現実に定着してしまう場合もある(「図解:虚構の残滓」参照)。

これには、さまざまな法則や条件、種類が存在するため、詳細は「虚構の残滓」で説明する。

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