ルールブック
ワールドセクション:アニメ
ワールドセクション:神話
アメリカ合衆国カリフォルニア州アーバインに本拠地を置く世界的企業で、電子・電気機器の製造販売を中心とする。
その歴史は古く、第一次世界大戦後の1923年にガンスミス(銃の製造・メンテナンスなど行なう職人)であったジョニー・フォックスが、戦後の好景気に便乗する形で起業した。
スタート時こそ時流に任せていたが、経営が軌道に乗ってからは堅実な経営を続け悪名高き大恐慌も耐え抜き、会社はジョニーから子供へ、さらにその子供へと受け継がれていった。
4代目となるジュード・フォックスの頃には電子・電気機器の分野で世界トップクラスの技術と業績を誇るようになっていた。
現在は急死したジュードに変わって、5代目であるミッチェルが歴代初となる女性代表を務めているが、彼女の代になってからもその成長は留まることを知らない。
自社開発された自立2足歩行技術によるロボット産業でのリード、そのノウハウを生かしたパワードスーツの開発など、この分野においてはVER-THを上回るほどの技術力と業績を誇る。
最近では米軍からの依頼で軍用パワードスーツや2足歩行ドローンを開発しており、一部技術はPHALANXにも提供されている。
また、ミッチェル直属の開発部も存在し、そこでは軍用を上回る出力を持つ用途不明なパワードスーツなどが開発されているという噂もある。
多くのロボアニメファンが夢見るもの、搭乗可能な巨大2足歩行ロボット。
現代においても車輪で移動するタイプの搭乗可能なロボットは存在するが、彼らファンが望むのはあくまで人間に近いフォルムを持つ2足歩行のロボットだ。
実はAE社ではこの開発に成功している……という噂が絶えない。それというのも、2021年に元AE(アーバイン・エレクトロニクス)社の研究主任を名乗る男から、同社が軍用の2足歩行ロボットの開発に成功しているという情報がリークされたことがあるからだ。
リーク先が大衆向けのゴシップ誌だったこと、証拠となる写真のピンボケが酷くロボットよりは人間に見えることから、この情報はガセネタとして無視された。
だが、それ以降この男に関する続報が無く、ゴシップ誌の編集曰く行方不明状態になってしまったため、結果的に信憑性が出てくることになった。
以降、この噂は一部のアニメファンや軍事マニアなどの間で、さも事実であるかのように語られることになる。同時に、徹底した機密主義であるAE社がこの手の情報を漏らすとは考えられず、人々や仮想敵国の想像力を掻き立てるためだけのデモンストレーションなのではないかという意見もある。
どちらにしろ、情報リークから2年が経過したが、搭乗可能な2足歩行ロボットが実戦投入されたという話は存在しない。
表向きには。
ロボットやパワードスーツ技術の転用先として、筋電義肢(人が筋肉を収縮させると発生する微弱な筋電位を用いて動きを制御する義肢)の開発も進められている。
この分野においてはソフトウェア技術も重要になってくるため、VER-TH社と技術協力をし共同開発を行なっている。
人道的な技術であるため、VER-TH社側は積極的に協力を行なっているが、AE社がこの機会を利用してVER-TH社のソフトウェア技術を盗もうとしているのではないか、軍事用サイボーグを作り出そうとしているのではないかという噂も存在する。
実際、実験的に開発された最新の義手が持つ潜在的パワーは常人のそれを超えており、人類の限界を超えるのも時間の問題ではないかと考える専門家も多い。
現在は、VER-TH社が運営するいくつかの病院内で希望者のみを対象とした試験運用が行なわれているが、そのほとんどが観測者だとする話もある。
どちらにしろ、現状で試作段階とはいえ、この技術によって多くの人々が救われていることは確かで、あまり良い噂のないAE社の評判を保つための数少ない好材料となっている。
創業者がガンスミスであったことから、創業時から現在に至るまで、細々と銃の製造販売も行なっている。
ただし、これはフォックス一族の趣味的な色合いが強く、採算に関しては度外視していると言われている。
製造されている銃の種類は多種多様で、リボルバー拳銃、オートマチック拳銃、ライフル、ショットガンなど気の向くままに作ったという印象で、中にはどんな巨人のために作られたのか、銃身が2メートルを超える巨大な拳銃などもある。
また、ほとんどのモデルが数十丁しか生産されず、その美術性の高さからも、市場では幻のモデルとしてコレクター価値が高い。
特に、ミッチェルが自身で設計した銃には上記の巨大な拳銃など奇抜なものや高威力すぎるものが多く、人間が扱う道具というよりは芸術品として取引されることが多い。
ただし、ミッチェル自身はそのことに対して不満を持っていると関係者が漏らしている。
大企業であるゆえ、表向きは虚構侵蝕は存在しないものとして無視している。
しかし、上記の奇抜な銃や高出力パワードスーツなど、扱える人間が存在しない“非現実的”な性能を持つ装備を開発し続けており、これらはアバ板によると虚構侵蝕内でこそ能力を発揮できる武器なのではないかと言われている。
また、実際に使用したという書き込みもあり、巨大な怪獣とも渡り合うことができたという内容だった。
これらはミッチェル個人のプロジェクトであることから、彼女自身は観測者である可能性が高く、あらゆる技術を軍事転用するという方針も、人間以上の“何か”との戦いを想定しているのではないかと推測する観測者も多い。
“現実”の装備では満足できなくなった観測者が企業規模の大金か強力なコネを持ってる場合、ミッチェルが作った装備を入手できる可能性があるかもしれない。そして、それは間違いなく強力な相棒になるだろう。
前述の通り、AE社は代々フォックス一族が社長を務めてきた。
しかし、現社長であるミッチェルは幼い頃に母を亡くし、弟と父を亡くし、家族と呼べる存在は1人もいない。
また、親戚に関しても4親等以内は皆無である。
つまりミッチェルの後継ぎと呼べる人間は、現状で存在しないということだ。
これに対しミッチェルは特に気にしている様子はないが、会社重役や親戚といった周囲の人間にとっては大問題である。
慣習を破って社員の中から後継者を選ぶよう提言する者、伴侶になろうと自分を売り込む者、勝手に継承順位を決めようとする親戚一同、さながらテレビドラマのような様相を呈している。
この騒動に対してはミッチェルも辟易しており、一時的に収めるためにも提案された見合いなどに関しては受けるようにしている。
少なくとも現状では彼女のお眼鏡にかなうような人物は現われておらず、いつか本物の争いが起きるのではないかと危惧されている。
1988年、当時大学生だった宮越が友人たちと作ったアニメサークル“ドンブリ”が在学中に製作した実験的短編アニメ映画「となりの豚トロ丼」。
この作品が大学OBである大手テレビ局プロデューサーの目に留まり、ブラッシュアップしたものをテレビ放映するという快挙を成し遂げた。
その後、評判を聞いた業界関係者から次々に舞い込む製作依頼に対し、テレビ局の後押しもあって宮越は自身を代表とした株式会社“スタジオドンブリ”を起業した。若さと技術力の高さから、大手スタジオの下請けとして多数の作品に参加し、名義こそ大手スタジオのものだが中身はすべてスタジオドンブリが制作した作品なども散見された。
順調に業績を伸ばし社員数も増えたおかげで、2010年代に入ると自社名を冠したアニメ映画作品なども発表し始める。しかし、世間的にはマイナーな制作会社のため、興行成績はいまいち振るわなかった。
だが依然として業界内での評判は高く、関係者とマニアックな視聴者の間では知る人ぞ知る伝説的なアニメーションスタジオとして崇拝されている。
また、観測者の間ではこのスタジオが関与した作品を模した虚構侵蝕が多数発生することから、重要な情報源として、また警戒対象として注目されている。
特に2010年以降のスタジオドンブリ名義作品の虚構侵蝕が多く、またアニメ作品を模した虚構侵蝕もこの頃から増えており、アバ板では専用スレッドが立つほど関与が疑われている。
それぞれ日本、韓国、アメリカ、タイの国籍を持つ4人の十代女性から成るアイドルグループで、2022年のデビュー直後からそのビジュアルと歌唱力、ダンスによって一躍世界的スターの仲間入りを果たした。
以降も発表する楽曲はすべてヒットチャートに名を連ね、活動期間とともに評価を高め続けている。
多国籍グループの特性を生かしてさまざまな国でライブを行なっていることも、この評価に繋がっている。
メンバーが慣れ親しんできた風習や言語はバラバラだが、その仲はリーダー兼事務所代表の“KK”のおかげで円満である。
KKはアイドルに必要なすべての要素をトップクラスで備えているうえに、幅広い知識と高いコミュニケーション能力も有している理想的なリーダーで、彼女がいる限りD-efen-SEの躍進は留まることはないだろうと考えられている。
あらゆることをハイレベルでこなす彼女たちを映画業界は見逃さなかった。
すぐに複数作品のオファーが持ち込まれ、メンバーはスケジュールが許す限りそれを受けた。
結果的に、オファーが始まった翌年のヒット映画のそこかしこに、彼女たちの名前を見かけることとなる。
実際演技力もハイレベルで、同年代の俳優たちと比べても頭ひとつ抜きん出ていた。
特にリーダーのKKの演技力は凄まじく、このままいくとアカデミー主演女優賞の最年少記録を更新するのではないかとも言われている。
“まるでフィクションの世界から出て来たかのような活躍”と、有名評論家は語っている。
彼女たちの活躍は各国政府首脳陣の耳にも入り、その多国籍な構成から、国家間の平和の象徴として政治利用される機会も徐々に増えつつある。
その際に政治家とコミュニケーションを取ることも多く、彼女たちは非常に好意的に受け入れられることになる。
老齢の政治家に対しては孫のように、壮年の政治家に対しては聞き分けの良い娘のように、若い政治家に対しては親しい後輩のように、相手が望むベストな対応をし続けた。結果的に各国の政治的上層部と利害を超えた関係性を結ぶことに成功し、まだ高校生程度の年齢ながら政治への強い影響力を持つこととなった。
これを本人たちがどのように思っているのか、どのように使っているのかは定かではないが、明らかに他のアイドルとは一線を画す立場を手に入れたのだった。
アイドルに限らず、複数国家を跨いでこれほどの影響力を持つ人物というのは、恐らくは近代史上存在しえなかったかもしれない。
史上最高の平和の使者として、彼女たちは政治方面からも強い期待を抱かれている。
これほどの知名度を誇りながらも、今のところ彼女たちにはゴシップらしいゴシップは存在しない。
だが、VER-TH 内の匿名掲示板にあるスレッド“ アバ板”では、KKのプライベートを撮影したパパラッチが行方不明になっているという噂も存在している。