虚構侵蝕TRPG

ルールブック

世界解説:アニメ

新しい題材

これまで『虚構侵蝕TRPG』では、虚構侵蝕が模す世界として“実写映画”を題材として扱っていた。

これに対し、『リアリティライン』ではおもにアニメ作品を模した虚構侵蝕を取り扱う。

ここでは、そのような虚構侵蝕が発生する世界の有様を解説する。

注意すべき点は、この項目に書かれていることは『虚構侵蝕TRPG』全体における世界観の更新ではなく、“『リアリティライン』を使用して遊ぶ際の追加要素”だということだ。

本書を使用せずに遊ぶ場合、これらの要素を追加するかしないかはシナリオ作者やGMが決定してよい。

構侵蝕における差異

アニメ作品を模した虚構侵蝕を実写映画を模した虚構侵蝕と比較すると、アニメ作品の方は、アニメーションであるという点に加え、映画以外の形式である作品が題材になることが多いという特徴がある。こういった特徴が理由で、法則そのものが変化したり、虚構核や観測者の持つ能力にも大きな違いが現われたりする。特に、その虚構侵蝕に“どのような法則が働いているか”ということは、観測者にとって重要となる。観測者が虚構侵蝕に巻き込まれた初期段階で、この新たな法則について調査・試行することになるだろう。新たな法則については「虚構侵蝕の法則:アニメ」で詳しく解説している。

ニメユーザーと虚構侵蝕

もともと虚構侵蝕を知っている者は少なく、その情報源はマイナーな匿名掲示板への投稿がおもである。

そして、虚構侵蝕の噂が出始めた西暦2000年前後において、ユーザー間でのアニメ作品に関する情報交換の方法は、上記の虚構侵蝕と大差なく、このふたつの距離は非常に近かった。

そのため、情報の広がり方、扱う層、性質なども似通っており、『虚構』P112で説明された歴史への大きな追加要素はない。

ただし2023年現在では、アニメ作品はより多くの人に認知され、以前に比べて表立ったものとなった。

情報交換はSNSやネットニュースなど多くの人の目に付くところで行われることが増え、今までマイナーな匿名掲示板で活動していたユーザーもその環境へと移行している。

そういった“ベテラン”ユーザーが以前同様に虚構侵蝕について言及してしまうことは多く、“古参アニオタの妄言”として扱われつつも、アニメユーザー界隈では虚構侵蝕という現象そのものの知名度は高い。

何よりも、“作品世界に入ってみたい”という想いを抱く者は実写映画ユーザーより圧倒的に多く、その想いは強い。

虚構侵蝕を知る者、信じる者、求める者、そして体験した者の総数は、基本ルールで述べた現実にくらべてかなり多くなっていることだろう。

まざまなグループ

前述したように、アニメユーザーと虚構侵蝕に関する情報の位置は近く、また“幻想(や妄想)を共有する”という行為を日常的に行なっているため、アニメユーザーの中には、虚構侵蝕に関する情報収集を行なったり研究したりするグループを作る者も現われ始めた。

このようなグループは大体がサークルのようなもので、結果よりも活動そのものに重点が置かれたものが多かった。

しかし、まれに観測者が混ざっている、もしくは観測者のみで構成されたグループも存在する。それらは上記のサークルレベルのものと違い、実利的な“結果”を生み出している場合がある。

対虚構侵蝕用装備、情報交換可能なコミュニティやツール、対策方法の確立、理解ある公的機関とのコネクションなど、そういったグループに参加している観測者は個人で活動している者にくらべ、有利に立ちまわることが可能になっている。

だが、いつの世においても幻想を共有する団体というものは発生しやすいが継続しにくく、規模も大きくならない。

実利的なグループに出会える確率は低く、そのメンバーになるのは難しいだろう。

虚構侵蝕前提の物品

アニメユーザーの中には想像力を現実にするため(もしくは近づけるため)、日々さまざまな創意工夫や発明を行なっている者もいる。

キャラクターが描かれた抱き枕などのグッズ、コスプレ、3Dホログラムなどによるキャラクターとの“同居”、実物大ロボットなど、それらは多岐に渡る。

そういう人間にとって虚構侵蝕とは、想像力が“最も現実的な”カタチを取ってくれる世界でもある。

上記のような思考にたどり着いた者は、条件の合った虚構侵蝕に出会った際に、好きなアニメ作品のキャラクターや物品と同様の存在に出会える確率を上げるため、姿かたちだけ似通ったものを用意しておく……というようなことをする場合がある。

例を述べると、ロボットアニメが好きな観測者が、作品内のロボット同様のサイズと外見を持つ、機能的には別物の“何か”を作ったとする。

未来的な技術が存在する虚構侵蝕が発生した際には、この“何か”を実際にロボットとして動かせる場合もあるだろう。

このような状況を望んで、さまざまなアニメ作品のキャラクターの物品を立体化する者は後を絶たない。観光地に設置されたりトラックに積載されたりしたロボットたち、持ち上げることさえできない巨大な鉄の塊でできた剣、3Dホログラムでできた歌姫……それらはもしかしたら、虚構侵蝕を待ち望む誰かが作ったものかもしれない。

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