虚構侵蝕TRPG

ルールブック

虚構侵蝕の事例

ここでは観測者たちが遭遇した虚構侵蝕の事例を、その視点を通して追体験してもらう。

ひとつの物語として楽しんでもらってもよいし、シナリオ製作時のフックやサンプル、観測者ロールプレイやセッション進行の参考としても役立つだろう。

ほとんどが導入部分を描いているが、ときおり終盤まで描いている場合があるので、シナリオサンプルとして内容をそのまま使用する場合には、参加プレイヤーが読んだことがあるか確認をしておくとよいだろう。

また、ゲーム内ではVちゃんねる内の書き込みとして、PCが知っていても構わない。ただし、その場合は事前にGMから了承を取っておくほうが、スムーズに演出できるだろう。

特定のNPCを想定して作成されたものではないが、本書に掲載されているNPC観測者の過去の逸話として使用してしまっても構わない。


Case 1:呪いのビデオ
ある日、目が覚めたら自宅のテレビ台に見たこともない黒い機器が置いてあった。
そこにはブルーレイレコーダーが置いてあったはずなんだが、それはなくなっていて代わりに形と色は似ている、ちょっと野暮ったい機械が置いてあったんだ。
ワンルームだから、寝てる間に誰かが入って盗んでいったなら気づくだろうし、代わりの機器を置いていく意味が分からない。
考えても答えは出ないし、大学に遅刻しそうで急いでたからスマホで写真撮って、そのまま自宅を出た。
講義前に友人にその写真を見せると、「普通のビデオデッキじゃん。それがどうしたんだよ」と、さも当たり前のように言い出した。それどころかブルーレイの存在を知らないようだった。ビデオデッキなんて、聞いたことはあるけど俺や友人が物心つく頃には廃れていたものなのに。
不安になってVER-THで調べようとすると、いつもと違って検索ウインドウがふたつあった。試しにそれぞれでビデオについて調べてみたが、ひとつは俺が知る情報だった。もうひとつの検索ではブルーレイもDVDも存在しない、ビデオが録画媒体の主役になっている世界の情報だった。
その瞬間、これが噂に聞いた虚構侵蝕というものだと気づいた。映画を題材にしてるらしいから、ビデオがメインの映画作品ってなんだろうなと考え始めた瞬間、教授が入ってきた。その表情には、いつもと違い、悲痛さが見て取れた。教授は手に持ったビデオテープを無言で眺めた後、デッキに入れ再生させた。
そこに映ったのは、井戸から這い出てくる白装束の女の姿だった。
Case 2:火星からの脱出
自宅のトイレから出ると、そこは白だった。
正確には白を基調にした、研究室のような場所だった。明らかに自宅ではない。いつもより身体が軽い。
なるほど、虚構侵蝕だ。
早々と判断した私は、周囲を調べ始めた。まずはここがどのような施設かを理解し、その施設が必要とされる環境から、題材となった映画を判断する。虚構核を推測するのはその後だ。
30分ほどかけて今いる部屋を調べた結果、ここが火星に設置された調査基地であることが分った。パソコンやモニターの機能から推測するに、現実にくらべて少しだけ未来のようだ。
火星か。火星を舞台にした映画はそれなりにあるんだよな。ただガジェットのリアリティさや、自分の知る科学的知識との齟齬の少なさから見るに、けっこう最近の映画だろうな。だが、まだ断定できないな。この部屋以外も調べてみるか。
警戒しながら歩き回ると、基地には6部屋あることが分かった。部屋はどれもわずかに荒れており、荷物の1部が持ち出されたように見える。
最後に入った部屋が農業用の研究室だった時点で、これが火星の人……いや、オデッセイか、それの虚構侵蝕だと確信した。なるほどなるほど、映画の展開から考えるに、ここにいた研究員たちは居なくなってしまった後か。では、私は火星から脱出しなくてはいけないのか。……いけないな、好きな映画だからついストーリーを追ってしまう。その必要はない。現実を取り戻すために必要なのは、虚構核だけだ。では、本格的な推測を始めよう。私の愛する現実、私の愛する地下アイドルを取り戻すために。
Case 3:山小屋で終末を
うおおおおおー! やったぞー! 俺はついに女子と旅行に来たぞー!「このご時世で旅行とかぜんぜんいけてなーい」ってぼやいてた同じゼミの美人女子を、玉砕覚悟で叔父の別荘(っていっても山小屋に毛が生えただけだけど)に誘ってみたら、みんなと一緒ならいいよって! 返事を! くれた! ほかのゼミメンバーの男2人と女子1人を誘って、真夏の週末にやって参りました別荘へ! 途中のガソリンスタンドのじじいが、めちゃくちゃ感じ悪かったけど! なーにが「お前らは呪われてる」だ、バッカじゃねえの!
おー、聞いてたよりずっとレトロな感じの立派な別荘じゃん。全然山小屋ってレベルじゃねーわ。近くにはいい感じの湖もあるし、いやーもうべーっすわこれ。これがアオハルっすわ。
さっさと荷物置いて、湖でひと泳ぎすっかなー。
……え、女子部屋の壁にあった鏡がマジックミラーだったって? うっそ、叔父さんヘンタイかよ。まあ部屋交換すればいいか。荷物置いてサクっと着替えて、湖へゴー! やっべ! 冷たくてきもちいー! 水も澄んで……あんまり澄んではいねーな。なんだこれ、藻みたいなんが多いんか。ちょっと潜ってみっかな。
やっぱ視界はよくねえな。あ、あれなんだ、人みたいな……半魚人? いや、見間違いだ、絶対。いくら人里離れた山のなかだからって、半魚人がいるわけねーし! でもちょっと冷えてきたから、もう湖からはあがろーかな! 冷えてきただけだから! あ、お前らも見たの? 半魚人を? バ、バカ言うなって、んなもんいるわけねーじゃん! は? 虚構侵蝕? あー、あったなそんなの。でも、山小屋とリゾート気分のパリピ大学生集団が出る映画って、お前それホラー……。
Case 4:静かすぎる街
アバ板の書き込みを頼りに訪れた街は、やはり虚構侵蝕に飲み込まれていた。最初の書き込みから3ヵ月、かなり後手に回ってしまっている。
先を急ごうにも降り続ける灰のようなもののせいで視界は10mほどしかないうえに、徘徊している多数の“ナニカ”がいる。街に入った直後に出会ってしまったソレは、人間のような形をしてたが、目も鼻も口もなく、腕も無かった。上半身を左右に揺らしながら移動し、なんらかの方法でこちらを察知し迫ってくる。その際、とっさに“サイコキネシス”を使ってしまい、そのナニカを消し去ることはできたが歪みを加速させてしまった。虚構核を確定させるまで、フィクションパワーは使用したくなかったんだが。
考えながら歩いていると、鍵の開いてる住居を発見したので、安全を確認しながら侵入する。すべての部屋を確認したが奴らはいないようだ。俺は手にしたスマートフォンで、現実のVER-TH検索にアクセスする。“灰が降る街”“化け物”“映画”のワードで検索すると、子どもの頃に遊んだことのあるホラーゲームの名前が出てきた。そうか、実写映画になっていたのか。
しかし困ったな、続編なのか条件が当てはまる映画がふたつ存在している。ストーリーはともかく、敵が違えば対処も変わってくる。できれば特定したい。
ナニカの名前はアームレスマンというらしいが、これは両作品に存在している。これでは判断材料にならない。……待てよ、両作品が合体した虚構の可能性もあるな。つまり敵対的な虚構体がてんこ盛りの闇鍋ってことだ。
俺はため息をつきながら、懐から拳銃を取り出し、残弾とチャンバーを確認した。
どうやら、長い1日が始まったようだ。
Case 5:鉄の男
私にとって、そして我が社にとって、今日は勝負の日だった。
野外でも使用可能な大型の音響システム。私の会社は長年それを製造し、販売してきた。
しかし、最近の御時世のせいで、売り上げはめっきり減り、倒産という2文字が重くのしかかってきていた。そんなとき、大手のイベント会社から声がかかったのだ。
大規模野外ライブ。その実行にあたり、防水対策を完備した最高の音響システムがほしいとのご要望だ。今日はそのプレゼンとして、実際のライブ会場である地方の公園へと来ていた。
横にある、人が入れそうなケースの中には、自社で開発した防水ネットを被せた最新のスピーカーが入っている。正直言って、この機器の性能には非常に自信があった。

「さあ、ご覧ください! これが当社御自慢のス……ミサイル?」

開いたケースの中には、小型のミサイルらしきものが並んでいた。驚いて顔を上げると、周囲にいたイベント会社の社員たちは、一様にスーツにサングラスという姿になっていた。

「さあ、早くそのジェリコミサイルの力を見せてくれたまえ」

先ほどまで丁寧だった先方の部長は、なんだか知らないけど葉巻をくわえながら高圧的に命令してきた。というかミサイルなんか扱ったことないんですけども。
「はぁ」と力なく返して、私はそのミサイルをひとつ持ち上げた。なぜか軍服姿の我が社の社員が、複雑な機構をもったテーブルのようなものの上にミサイルを置き、操作する。直後、ミサイルは飛んで行った。綺麗な直線を描き、そして……大爆発した。
Case 6:インターファーム
ある夏の日のことじゃった。わしが畑仕事をしていると、一瞬光が陰ったんじゃ。わしは思わず空を見上げた。さっきまで雲ひとつない晴天だったからじゃ。見上げた先には、小型の飛行機のようなものが飛んでおった。
ぼんやりとそれを見ていると、畑の横を通る農道を、車が爆走してきおった。わしの目の前に急ブレーキをかけて止まると、助手席と後部座席の窓が同時に下がって、若い男女が顔を出したんじゃ。

「すいません、おじいさん。ここを軍用ドローンが飛んでいきませんでしたか?」

ドローンが何かは分からんかったが、たぶんさっきのだろうと思って、飛んでいった方向を指さした。

「ありがとうございます。……やっぱり、これって、あの映画の虚構侵蝕じゃん!」

その若者たちはすぐに車を動かして、さっきの飛行機を追いかけてったよ。
さて、畑仕事の続きでもしようかと思って地面を見たら、作物が全部枯れておってな。わしが目を離したのは、せいぜい数分の事じゃったから、これが何かの異常現象だということに気づいた。
さっきの若者たちが言ってた“虚構侵蝕”。孫が楽しそうに話してきた噂話の中にも出ていた言葉じゃと思い出した。たしか、世界が変わってしまう現象じゃ。
わしは鍬を強く握り直した。
虚構侵蝕だろうが、巨人大鵬だろうが、何人たりともわしの畑に手を出すことは許さん。わしはあぜ道に置いておいた水筒と弁当が入った袋を背負って、鍬を片手に飛行機の飛んでいったほうへ歩き出した。
あとはおぬしらが知ってる通り、こうやって現実を取り戻したというわけじゃ。
Case 7:独立記念日
いつから日本の首相は元エースパイロットになったんだっけ。いや、それを言ったら、その首相が飛ばす戦闘機と編隊を組んで飛んでいる俺はなんだ。ただのタクシー運転手だぞ、ほんの2時間前までは。
いつも通り都内をぼんやり流してたら、急に空からUFOが襲ってきて街は大混乱。直後に乗せた男が軍の科学者だってんで、攻撃を避けながら(なぜか全部避けられた)国会議事堂を目指した。
途中、攻撃で破壊されたビルのせいで車での移動は難しくなったから、タクシーを捨てて近くにあったヘリに乗り換えた。これまたなぜか問題なく操縦して、神業のような動きでUFOを回避し、国会議事堂に到着した。
そこで一緒にいた軍の科学者が俺の操縦技術を絶賛して、なんやかんや最新の戦闘機に乗ることになったわけだ。そしてさっき、その戦闘機で出撃してUFOを11機撃墜して戻ってきたら、英雄扱いされちゃって、結局なんか最後の作戦に参加する羽目になってた。
先陣を切るのは、若いけど支持率がいまいちな現首相。元エースパイロットってのは本当らしく、めちゃくちゃな軌道をするUFOに引けを取らない。
まあ、それでも俺の駆るブルーデスサイズ(さっきつけた戦闘機の名前)には負けてるわけだが。
このままいけば敵の母艦に侵入できそうだ……おい、嘘だろ、ここまできて大量にUFOが出てきやがった……まて! スティーブ! お前には子供たちが……くそ、お前が開いてくれた道、無駄にはしねえぞ!
ところで仕事が仕事だから、ちょっと曜日とかに疎いんだけど、さっきからみんなが言ってる独立記念日っていう祝日あったっけ?
Case 8:独立記念日リターン
俺は、また戦闘機のコクピットにいた。
つい先週、宇宙人の母艦を撃墜して世界を救ったばかりだというのに、まーたこの展開だ。あの後いろいろ調べた結果、これが虚構侵蝕っていう現象だってのは分かった。もともと噂では知ってたけど、そんなもんが本当にあるとはとても信じられなかった。
まあ、もう終わったからいいかって思ってたら、次の週末にはまた虚構侵蝕に飲み込まれていた。同じような世界観で、UFOの性能がパワーアップしてるから、続編なんだろうなって感じがしてた。
今回もタクシーで攻撃を回避しながら念のため国会議事堂に向かったら、前回出会った科学者が出迎えてくれた。20年前の侵攻を退けた英雄として。虚構侵蝕特有の認識変更が起きてるんだなって感じたけど、ふたたびブルーデスサイズに乗れるなら悪くないなって思って、今回も協力することにした。
それで、今こうやって最新戦闘機“ブルーデスサイズヘル”に乗り込んでいるわけだ。続編とはいえ違う虚構侵蝕だから、ブルーデスサイズは存在しなかったんだよ。ただし性能に関してはUFOの技術を取り入れてるだけあって、段違いに向上している。対する宇宙人の母艦も前回の100倍以上の大きさだ。艦載機であるUFOの性能も上がっている。相手にとって不足はないぜ。
さあ、踊ろうぜ、ブルーデスサイズヘル!
今日こそ真の独立記念日だ!
そういや、独立記念日について調べたら、あれってアメリカの祝日だったわ。そんときに虚構侵蝕ってのはマジですげーんだなって、改めて思ったよ。祝日増やすなんて、猫型ロボットレベルじゃん。でもできれば7月じゃなくて、6月に祝日増やしてほしかったな。あ、倒した。
Case 9:ありえないほど近いパパ
ボクがパパと会えなくなってから、何日も何日もすぎた。でも、ある日、パパからてがみがとどいた。
ボクはてがみを持って、パパに会うために家を出たんだ。もちろんママにはないしょだよ。
いろんなとこに行って、てがみを見せて、パパのことを聞いたんだ。みんな、パパみたいにやさしくて、あたまをなでてくれた。たまに泣いてる人もいた。かなしいことでもあったのかな?
まちのなかをたくさん歩いて、たくさんの人があたまをなでてくれた。でも、パパは見つからなかった。どこにもいなかったんだ。
そうだよね、パパは車にぶつかって、しんじゃったってママがいってたから。
わかってたんだ。でもボク、どうしてもすこしだけでいいからパパに会いたくて。
だから、まいにち神さまにおいのりをしたの。パパに会わせてくださいって。
きょこうしんしょくをしてくださいって。
でも、きたのはパパじゃなく、てがみだけだった。
神さまがいじわるするわけないから、たぶんこれはひつようなことだと思う。
ボクは、パパと会わないほうがいいんだ。
ただ、いつだって近くにいるって思うことが、たいせつなことなんじゃないかな。神さまはきょこうしんしょくで、ボクにそれをおしえてくれたんじゃないかな。
とてもかなしいし、パパに会いたいのはかわらないけど、神さまがきょこうしんしょくまでおこしてくれたから、ボクはがまんすることにした。
がまんして、パパみたいに大きくなって、ぜったいママをえがおにするんだ。そうきめたんだ。
Case 10:未来からの守護者
ワイ、なんか知らんけどロボットのおっさんに助けられるww
完全に人間にしか見えんのに、腕の皮膚はがしたら機械になってんのww
んで、ワイを襲ってきたヤツってのは最初は人型やったけど、ロボットにぶん殴られたらなんか銀色の液体になってて草。でもまたすぐ人型に戻って、ダメージもないみたいでやっべって思ったら、今度はロボットがショットガンぶっぱして、液体野郎を吹き飛ばしてんの。
それでも、液体野郎はすぐ人型に戻ろうとしてるから、ロボットに腕引っ張られて逃げてきて、いまってわけ。ほんま腕もげるかと思ったで。
ここまでの書き込み読んだら、分かるヤツは分かると思うけど、これって虚構侵蝕だよな?
んでさ、こーいう展開ってどの映画? アニメとかは確かほとんどないんだよな? ていうか、できればハーレムものアニメとかの主人公が良かったんやけど。あ、刺されたりするのは勘弁で。
……あ、けっこう有名な映画やんけコレ。溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙なしにはってアレの元ネタってこの映画やったんやなー。でもなんでいきなり2よ。1なら敵そんなに強くなかったんちゃうん?
あーこのロボットのおっさんが敵だったんか。え、1の敵が2で味方ってアッツイなー、たのしそ。これ終わったらVプレで見るか。頼むからネタバレとかないまま終わってくれんかな。あ、ワイが終わらせないといけないんやっけ、コレ。どうすっかなー。やっぱ安価しておく? え、氏ぬからやめろって、これホンマに氏ぬの? え、マジ? ちょっと草なんだけど。は、いやうそやっべってまじでしにたくねえし、おまえらたすけ
Case 11:灰色の脳細胞
「犯人はこの中にいます」

言ってやった。人生でいちばん言いたかったセリフを、最高のシチュエーションで言ってやったぞ私は。
賢明な読者諸君のために遡って説明しよう。
私は日本ではすでに金持ちの趣味となってしまった寝台列車に乗り、青森を目指していた。
実際、このツアーは通常便ではなく企画されたもので、前日泊のホテルを含めれば料金は100万円を超えていた。閑話休題。
昼間はイベントのために駅に停車するものの、夜間はゆっくりとだが運転し続けるという運行スケジュールになっている。そして事件は最初の夜に発生した。
食堂車での夕食時には、全員が生きていた。それは入車時のチェックと、出された料理の数で判断できる。しかし、翌朝に乗務員が見回っていると、客室のドアの下から赤黒い染み、つまり血液が広がっているのを発見した。車掌がマスターキーを使い部屋に入ると、中には若い男性の死体があった。たまたま乗り合わせていた年配の医師によると、死因は刺し傷からの出血で、死後3時間ほど経過しているとのことだ。
最後に駅に停車したのは8時間前。
企画用の寝台列車であるため、食堂車、動力車含めて5両しかない。
そして、乗客乗員あわせて24人。
不思議なことに次の停車駅まで、どんなに早くても2時間かかるらしい。
この展開、昨日の夜アマプラだ見た映画と同じだー!
これ虚構侵蝕だー! ていうことはこの後も映画と同じ展開が待ってるに違いない! 今しかねえ!

「犯人はこの中にいます」
Case 12:こうもり男
地下空洞でのライブという斬新な企画に、我が社の最新スピーカーを提供する。利益は大きくないが、我が社の名前を世界に知らしめるいい機会だろう。
さーて、そろそろスピーカーちゃんの到着だ。
地下空洞といっても車で乗り入れられるので、搬入も簡単だ。我が社のスピーカー移動用バン、その名もス……あれ、あの黒い車なに? めっちゃかっこいいし頑丈そうなんだけど。
あ、いつもお世話になってます。は? アルフレッド? いや山本さんですよね? あ、アルフレッドなんですね、はい。バットモービルっていうんですか、アレ? はー、高そうな車ですねぇ。あ、私のなんですか。え、なんですかこの黒いスーツ。
着なきゃいけないんですかヤッパリ。
うお!? マスクつけたら急に声が変わった! 
へーそういう機能があるんですか。すごいハイテクですね。これうちの機材に応用できないかな。
で、これで私なにをすればいいんですかね。
ゴッサムシティの犯罪者を倒すんですか? 恐怖を使って? いやちょっと何言ってるかわかんないですねぇ。
あーいや、そんな急にご自分の人生を賭けないでくださいよ、アルフレッドさん!わかったわかった、わかりましたよ! 行きゃあいーんでしょ!
ったくこんな車どうやって動かせばいいんだ……あ、なんとなく分かるなこれ。あーはいはい、若い頃に乗ってたバイクと感覚が似てるわ。
さーてと、じゃあこの洞窟から出ますかね。出口はどこだろうなー。あ、そこカタパルトが出て来た。
って滝の裏から出撃かーい!
Case 13:どこかの惑星
――ある怪談師の独白。
その日はね、私、出張だってんでね、仙台行きの新幹線に乗ったんですよ。新幹線ってのは日本の技術の結晶ですからね。ものすごいスピードで走ってるのに室内はそりゃあ静かなもので。私も例にもれず、そのうちウトウトし始めたんです。ああ、ほら、新幹線同士がすれ違うとき、急に大きな音がしてびっくりするでしょ? ウトウトしてるときにあの音、結構ドキッとしますよね。
ああ、話がずれちゃいましたね。でね、そんなふうにウトウトしながらも、到着のチャイムでちゃんと目を覚まして仙台で降りたんです。でね、改札を出て、駅前からタクシーに乗ろうってんで駅の外に出てみますとね、周りの景色が私の知ってる仙台じゃないんですよ。
建物なんかすっかり見たことないような感じでね、木なんかもたくさん生えちゃって、まるでジャングルですよ。耳を澄ますとね、キキーッ、キキーッって、猿の鳴き声なんかも聞こえてきまして。
あれ? 私、もしかして寝ぼけて違う駅で降りちゃったのかななんて思ったんですけど、でもね、そもそも仙台どころか日本でもないような、もしかしたら地球でもないような、そんな景色なんですよね。
もうね、私、変だなぁ変だなぁ、怖いなぁ怖いなぁって。
一体ここはどこなんだ。私は今どこにいるんだ。もうそればっかりが頭の中をぐるぐるぐる回り続けましてね。
半狂乱で歩き回りましたよ。ええ。
どれだけ歩いたでしょうか。精も根もすっかり枯れ果てて、もうこれ以上歩けない、そんな気持ちでね、ふと目を上げると……
あったんですよ。そこには。
自由の女神像が……。
Case 14:新宿の幻
すべての物事には終りがある。当たり前の事だけれど、それを認めるのに時間が必要なときもある。
終わりを告げたのは彼の短い人生だけでなく、彼とともに過ごすはずの自分の未来でもあり、ひいては、自分の人生の光そのものだったようにも思う。
私の腕に抱かれたまま命の灯が消えていく恋人の姿を夢に見なかった日はない。
返ってきてほしい。叶わぬ願いと分かっていても、私にはそう願い続けることしかできない。
愛している、そのひと言、たったひと言がほしかった。
それだけなのに。その願いはこの先も決してかなうことはない。
幽霊となって私のそばに来てくれれば……、そんなふうに思ってしまったりする。
霊なんて存在しない。分かってる。言われなくても。
でも、それでも、私が今感じる、あの人の存在、吐息のような温かい気配、それは決して私の妄想じゃないはずだから……
誰に当てたものでもないつぶやき。VER-TH上に残されたアノニマス(匿名)の手記。
この書き込みに辿り着き、私はようやくすべてに合点がいった。港区の商社で勤務中であるはずの私が、なぜか新宿の街で霊媒師の格好をしていたことに。
やはり私は今、虚構侵蝕に巻き込まれているのだ。
かつて観た映画に似た思いが、虚構の世界で救われたがっている。死者と生者、虚構と現実、幾重にも重なる願いの架け橋になるのも悪くない。
たとえ私が、霊感もなにもない、ただのOLなのだとしても……。
Case 15:遠い昔、とても近い銀河系で①
虚構侵蝕パターン13-2、ワールドジャンル“超科学”、敵対虚構体アリ、コードネーム“SW05-7”。
VER-THドライブに現実に戻っても変容しないタイプのデータをアップし、俺は最悪の事態に備えた。
コードネームSWに属する虚構侵蝕は多い。1970年代に公開されたあまりにも有名なスペースオペラ映画は、多くの人々の想像力を刺激した。結果、それをベースとした虚構侵蝕も多発することになった。
厄介なのは、この虚構世界が想像を絶する科学力を持っていること。それと、その科学力を超える超能力を操る“騎士”と呼ばれる者たちがいること。騎士にはライトサイドとダークサイドの2種類いたが、どちらも本当に厄介だった。ひとりひとりが、俺の持つふたつのフィクションパワーの上位互換といっても過言ではない能力と剣技を持っていたからだ。
ライトサイドはこの時代にはほとんど残っていないようだが、ダークサイドは時の権力である“帝国”と結びついており、集団で行動していることもある。
どちらかを味方にすべきだろうが、虚構核が判明しないうちは計測な判断は下せない。
そんなわけで俺は今、潜入した宇宙基地の中でダークサイドの騎士2人に追いかけられている。奴らは兵士や隔壁を上手く使い、こちらを追い詰めてくる。仕方なく俺は格納庫へと急いだ。奴らの宇宙船を盗んで、いったん退くしかない。しかし、たどり着いた格納庫には脱出ポッドのひとつも残っていなかった。奴らの罠だったんだ。
覚悟を決めた瞬間、格納庫の外部フィルターを突き破って1機の戦闘機が突入してきた……Xの翼を持つ、白銀の戦闘機が。
Case 16:遠い昔、とても近い銀河系で②
白銀の戦闘機から飛び降りてきた若者は“騎士”だった。手に持った青い光剣で“帝国”の兵士が放つ光線を跳ね返し、次々に切り倒していく。
その勢いに便乗し、俺も愛銃を使って兵士を撃ち倒していく。ありがたいことに現実の地球と変わらぬ重力があるので、拳銃を撃った反動で飛ばされるようなこともない。いつものように至近距離で体術
と拳銃を組み合わせた技“ガンフー”を駆使し、若い騎士と2人で数十体いた白アーマーの兵士たちをほぼ壊滅させた。
一息ついてから、自然と若い騎士と並んで立つ。奥からゆっくり現れた、ダークサイドの騎士2人と向かい合うように。言葉もなく、相手は赤い光剣を伸ばし切りかかってくる。若い騎士は青い光剣でそれを受け、俺は相手の手首を拳銃で払い、光剣の軌道を変えて避ける。
そのまま拳の間合いに入り込んで、相手の剣を封じる。俺はこの戦法で、今まで多くの虚構侵蝕で武器的な不利を乗り越えて勝利してきた。今回もそれが通じることを祈った……が、そう簡単にはいかせてくれないようだ。相手は光剣を縮めたり伸ばしたりし、ときには体術を織り交ぜて、どのような間合いにも対抗してくる。武器の性能や超能力だけに頼らず、研鑽を続けてきた者の戦い方だった。
ギリギリの攻防が続く。ハッキリいって分が悪い。
若い騎士は優勢だが、まだ時間がかかりそうだ。ならば、賭けるしかないな……そう思ったタイミングで、相手は少し距離を取り右手を突き出した。見えない衝撃に、俺は激しく吹き飛ぶ。
相手は初めて表情を動かす。勝ちを確信した者の表情だ。その瞬間、相手は俺以上に激しく吹き飛んだ。右手を突き出した俺の“サイコキネシス”によって。
Case 17:遠い昔、とても近い銀河系で③
口の端から溢れた血を拭い、俺はなんとか立ち上がった。どうやら相手は気絶してくれたようだ。
ふと横を見ると、若い騎士も相手を切り倒していた。相手より経験は少なそうだったが、先を読む力や変幻自在の戦術で終始圧倒していた。たぶん俺を助けるために焦って、結果的に倒すのが遅れたようだ。
甘いやつだ。その証拠に光剣を収め、自己紹介しながら握手を求めてきやがった。俺が敵だったらどうするつもりだ。それとも俺ごときには、不意打ちでも負けないって自信でもあるのか。どちらにしろ気に食わない。
俺は握手を無視し、若い騎士に事情を話させた。どうやら基地内に仲間が何人か捕らえられているらしい。それを助けるのに、いくら強いからってひとりで来るか?
だが、若い騎士は完全にひとりというわけでもなかった。キャスター付きのウォーターサーバーみたいなロボットが戦闘機から降りてきて、道案内する気満々で先導し始めたのだ。
結局、そのロボットのおかげで、捕らえられた若い騎士の仲間たちをあっさり助け出せた。さっきのとは別の格納庫にある大型の宇宙船を使って、仲間たちを逃がす。
その直後、先ほど気絶させたダークサイドの騎士が襲い掛かってきた。しかし、若い騎士と俺のコンビネーションによって、今度はあっさり倒してしまった。
倒れたそいつを見た後、若い騎士はふたたび右手を差し出してきた。不思議なことに、俺の右手は自然とその手を握り返していた。やれやれ。
その瞬間、虚構が収束していくのを感じた。
ああ、虚構核は俺だったんだ。つまり、満ち足りてしまったってわけか。目を閉じた俺の口元は、自然と微笑んでいた。
Case 18:悪役は辛いよ
俺、虚構侵蝕に何回か遭遇してる観測者。まあそろそろベテラン? っつーのかな。虚構侵蝕が始まっても、あっ、また来たなって分かるし、ものによっちゃあ虚構核の正体もそこそこ予想がつくようになってきたのよ。
例えばアクションヒーロー映画を題材にした虚構侵蝕。映画の筋書き通りに物事が進んでいるのに、主役が映画と違う誰かだった場合。人間が虚構核だったら、ほぼこいつで間違いないわけ。
だって考えてもみなって。ヒーローみたいなことがしたいっていうそいつの思いが虚構侵蝕を引き起こしたなら、そいつは間違いなく主人公ポジションを選ぶだろ? 好きな映画が再現されてるのに、誰がわざわざやられ役のほうを演じたがるってんだ(例外は承知してるぜ。格好いい敵役もいるからな)。
じゃあ、そんなヒーローを止めなきゃならない俺たちは悪役かい? って話になるんだけどさ。正直、悪の組織側に回って行動すると、そいつをノコノコおびき寄せられて効率的なんだよな。実際、悪の組織と一戦やりあった後は、一緒にヒーローを捕まえる作戦を立てたしね。
しかし、なってみると悪役ってのも大変だね。先手先手で能動的にストーリーを動かさなきゃならないし、確実に勝つための罠も考えなきゃいけないし、研究対策も必須作業。まさか虚構世界でまでプレゼン資料を作らされるなんて思いもしなかったよ。おかげでチームの結束、高まっちゃったけどね。
なのにあのヤローはこっちの苦労も知らないで、いきなり奇跡とか起こしやがる。おい、仲間を連れてくるな。そいつらは先代だろ、引退させとけよ! はあ。そりゃ、悪役は巨大化でもして、まとめてひねりつぶしたくなるぜ(負けフラグ)。
Case 19:結局、料理人
正直すぐには虚構侵蝕に巻き込まれてるって気づかなかったんですよ。これでも職場では集中して仕事してますし、自分でお弁当を作って持っていってますから、退勤時間までほぼ外に出ることがなかったんです。だからタイムカード押して、外に出て、気づいたんです。
会社の外が南極になっていたんですよ。
ただ、ただ、遠くまで広がる氷原。氷の場合も地平線っていうのかな。晴れてたんで、少し歩きましたけど、見事に何もなかったですね。さすがに社屋を見失ったら死ぬって思ったんで探検は諦めました。
で、戻ってくると、会社の人間たちがこの状況を受け入れていることに気づいて、アバ板にあった虚構侵蝕のことを思い出したんです。一応VER-THへの書き込みはできたので状況を伝えました。そしたら南極を舞台にしてる映画って結構やばいものもあるらしく(怪獣とか宇宙人とか遺跡とか)、住人たちの間ではちょっとした元ネタ探しが始まってましたね。私は詳しくないんで傍観していましたけど。もちろん不安は不安でしたよ。
そのうちラーメン好きの上司から「カップラーメンの備蓄がなくなった。もうダメだ」なんて言われたりして。確かに食糧問題も心配になりました。いつまでこの状況が続くか分かりませんし、みんなで会社の中に残っている食料を集めることにしたんです。
で、社屋の横に食糧庫が出現しているのを見つけまして。あれは食糧庫というより天然の冷凍庫でしたね。それで、とりあえず温かいものを作ることにしたんです。あ、これでも調理師免許を持ってるんですよ。会社の炊事場なんて大した設備もないですけど、とりあえず豚汁を作って、みんなのところに持っていって。そしたら虚構侵蝕が終わってました。なんだったんですか、あれ。
Case 20:華麗なる片思い
うちの近くに金持ちが引っ越してきてな。そいつ、めちゃめちゃパリピらしいねん。毎晩、知らんやつらが豪邸に遊びに来てな。まあ、賑やかなことになってんのや。
いうて室内は完全防音らしいし、うるさいのは人が集まる時くらいなんやけどな。それに、周辺住人は先だって迷惑料みたいなもんももらってしもてるから、それくらいなら我慢したろかみたいなことになってんのよ。
その金持ちの使用人たちは、ちゃんと地域にも金落としてくれるしな。
ただ噂では、誰もその金持ち本人の顔は見たことがないらしいんや。噂にしちゃシャレとるな思たんやけど、どうやらほんまらしい。なもんで、ものすごいハンサムやとも、逆にすごいブ男やとも、実は女やとも、いろいろ言われとるそうや。まったくしょーもない。男は心やろ。
で、うちの嫁が言うには、その金持ちは誰かに恋をしていて、その女の家の明かりを眺めるためにこの町に引っ越してきたんやと。待て。それはやばいやつやんけ。知らん家の人のコトあんまり悪いうなや。え、それがロマンチックなんか? よう分からんわ。
それはそうと最近、若いにーちゃんと飲み屋で知り合ってな。こいつがまた、ええ男なんよ。若いのに気前もいいし、礼儀もなっとる。頭もかなり良さそうや。将来は大物になるで。おっちゃんが保証したる。そやけど、なんかを悩んでるらしいんや。酒で口を滑らせたろ思ったんやけど、なかなか口が堅くてな。……ん? 嫁の話が聞きたい? なんやお前ら、うちの嫁に興味持ちすぎやろ。まあ、話したるけどな。今はもうええ歳やけど昔は美人と評判でな。おっちゃんなんかまったく相手にされんかった。けど、好きやった男が急におらんようになってしまったらしくて……。
Case 21:危険な美人母
一介の婦警である母に「ミスコンに潜入捜査しろ」なんて辞令が下りたなんて信じられますか? そもそも「今時ミスコンなんてやってるんだ」とか「映画みたいな話」とは思っていたんですけど、いろいろ探ってみたらやっぱり虚構侵蝕だったようです。それにしても、なんで母……。
なぜ私が簡単に警察の極秘情報を得られているのかは伏せておきますが、なんでもミスコン会場に爆破予告が届いたんだそうです。ええ、すぐに元ネタ映画は分かりました。私も好きですからね、あの映画。
ということは、この虚構侵蝕は母が虚構核? 本当に? だけど、少なくとも私は母からミスコンに出たかったなんて話は聞いたことがなかったんです。本人も困惑してるみたいですし。あ、そこは映画も同じか。
でも……やっぱり変なんですよね。家族から見ても母は最初から色気ゼロで、オシャレにもまったく関心がなさそうだったんです。まさに元ネタの女刑事の性格そのまま。あんなに美人じゃないですけどね。だからどうしても一番女刑事役に似合っていたからキャスティングされただけじゃないか、という疑惑が晴れないんです。
だとすると……ホンボシは事件を起こしたがっている犯人のほう? 重要なのはミスコンじゃなくて爆破事件?
こうして書き込んでいるのは、虚構核の正体についてみなさんにも一緒に推理してもらいたいからです。
爆破事件を起こしたい人がいて、その人の望みが虚構侵蝕を生み出したのか。あるいはミスコンを中止させたい何かの思いがこの事件を発生させたのか。まだまだ候補が絞り切れません。どうかご協力をお願いします。
Case 22:スタッフ300人
虚構侵蝕が悪ノリをしてると思ったね。ああ、この前の同人誌イベントの話。最近はいろいろルールも変わって、徹夜で並ぶのにも意味がなくなっただろ? チケットないとそもそも会場に入れないしさ。昔は昔で高度な情報戦とかあって、どこに並ぶかみんなで作戦を立てるの楽しかったけどね。おっと悪い。前回のイベントの話だった。イベントのスタッフが優秀だって話は前にもしたことあったよな? 悪名高き徹夜組を列の最後尾に並ばせなおしたとか、そんな話。その運営スタッフがスパルタ兵になっちゃったってのがこの話の肝なわけ。しかも規則を守っている俺たちまで徹夜組ってことにされちゃったんだよ。あとはもう分かるだろ? 暴力さ。いや、暴力は規則で禁止されてるから、ソフトな対応ってやつか。いや、やっぱり暴力だったよ。エスカレーターは歩くなとか列をもっと詰めろとか、言ってることはスタッフの言葉だったが、盾でぶん殴りながらだったからな。そのうち違法駐車の痛車がスタッフたちに突進を始めてさ。で、スタッフの対応がソフトからマイルドに変わって、俺たちは痛車ごと海に投げ捨てられたってわけ。
そこからは作戦会議よ。ここまで来るとなんだか楽しくなっちまってさ。分かってるって。怪我にはもちろん気をつけたさ。観測者だけは怪我を現実にも持ち帰っちまう。ただ、スタッフは虚構核じゃなかったからな。一般参加者相手なら全部虚構の範疇だ。だから一般参加者を囮に使わせてもらって、こっそり会場に潜入したのさ。
そしたら会場の中だけは元の同人誌イベントのままだったんだよ。だから俺たちはそこで、虚構侵蝕を引き起こしていた1冊の同人誌を探し出して虚構を収束させたってわけ。本の内容? そういやまだ読んでなかったな。

虚構侵蝕TRPG 書籍版ルールブック

シナリオ集 フィクションオブセッションⅠ

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