ルールブック
ワールドセクション:アニメ
ワールドセクション:神話
本作の舞台は現代の地球である。
我々の生きる現実世界と同様に、蒐集されるべき不可思議な事象も、天に住まう神々の人智を超えた奇跡も存在しないはずの世界である。したがって、本作を遊ぶユーザーは、舞台となる世界についての新しい知識を“ほとんど”覚える必要がない。
ただ5つだけ、我々の世界では聞くことのない概念を覚えればよい。それが[虚構侵蝕][観測者][虚構核][虚構体][VER-TH]だ。
実写映画をモチーフにした虚構の世界が現実を上書きし、人々の認識までも変えてしまう現象を[虚構侵蝕]と呼ぶ。
人々の記憶や認識、物質に刻まれた記録、あらゆるものが最初からそうであったかのように虚構に上書きされてしまう現象であり、その範囲は侵蝕の規模によってさまざまで、手の平サイズのものから宇宙にまで及ぶこともある。
共有するイメージに集中した人々の願望が強大な力を持ち、さまざまなきっかけによって具現化する。それが虚構侵蝕の発生する原因である。
古来、人類が想像力を得るとともに[虚構侵蝕]は発生してきた。太古においては壁画や口伝によって抽象化され共有された自然、または精霊たちがモチーフとなっていたであろうし、宗教が発展してからは神や天使、悪魔などのイメージが虚構侵蝕のモチーフとなった。
そして人口の増加とともに社会の文明化、都市化が進んだ現代。人々が想像力の翼を広げなくなった時代では、より現実に近く、より多くの人にイメージを共有され、コンパクトにまとまっている虚構―つまり実写映画がモチーフとなっている。また、実写以外の映像作品や数十時間に及ぶテレビドラマなどが虚構侵蝕のモチーフとなることもあるが、その数は多くない。
虚構侵蝕は、西暦2000年前後から当時開設されたばかりのVER-TH(後述)の一部で噂になっており、都市伝説ばかりを扱う匿名掲示板、通称“アバ板”(Urban Legendの略)で名付けられ、体験談と称した真偽の定かではない投稿が現在に至るまで数多く寄せられている。しかし、虚構侵蝕を認識できるのは[観測者]と呼ばれるごく一部の存在に限られるため、あくまで都市伝説の域を出ておらず、国家や自治体レベルでの組織的な対応までには至っていない。
虚構侵蝕中の世界(虚構世界)には、現実では存在しなかった生物や物体が現れることがある。[虚構体]と呼ばれるそれらは虚構の力を強く宿しており、虚構侵蝕が長期間継続することで現実に定着し、新しい現実となる場合がある。
虚構侵蝕の詳細な法則については「虚構侵蝕の法則」を参照してほしい。
観測者はすべての虚構侵蝕を観測できるわけではない。
この基準について、ルールとしては明確にしないが、虚構核と関係性が強いほど観測できる可能性は上がると考えてよい。
もちろん、関係性がまったくなくとも観測できることもあるし、関係性が強くても観測できないこともある。あくまで可能性であり、明確な線引きではない。
PCが観測できない虚構侵蝕に出会った場合、例え目の前の人間が虚構侵蝕に巻き込まれていても、現実では何の変化も感じられない。虚構世界の中での変化は、現実世界ではふさわしい内容で再現される。
例えば、虚構世界でダメージを負った場合、現実世界では転んで怪我をする。大きなダメージの場合、交通事故や落雷、看板が落下してきたなどで同等のダメージを負うことになる。しかし、虚構世界の中ではさまざまな手段で回復することもできるため、そういった効果を加味したうえで現実世界に適用される。
虚構世界と現実世界では、時間の流れは同様ではないのだ。
もし、観測できない虚構侵蝕に出会って何らかの関与をしたければ、観測している人間にVER-TH経由で連絡を取るか、観測できるモノを探すしかない。
虚構侵蝕はその性質上、その存在を信じる者が多ければ多いほど発生しやすくなる。
VER-TH社長“松田論”はいち早くそのことに気づき、ネットでの対処方法を以下のように定めた。
「完全な否定や黙殺はせず、噂になるようコントロールする」
いつの世も、真実が隠蔽されていると思う人々は絶えない。否定や黙殺の結果、存在を隠すための工作だと思い、かえって実在を信じたり、興味を持ったりする人が増える危険がある。
そのため、VER-TH内では虚構侵蝕に関する書き込みを削除したりはせず、適度に嘘の書き込みを行なうことで信憑性を減らし、噂や都市伝説として扱われるようコントロールし続けている。
また、アーバンレジェンド板(通称“アバ板”)などの特定のアンダーグラウンドな匿名テキストスレッドの情報には手を加えず、観測者が情報源にできるよう配慮している。
虚構侵蝕に飲み込まれても現実世界の記憶や認識を保持し、虚構世界に違和感を覚えることのできる者を[観測者]と呼ぶ。
観測者という名称もアバ板で名付けられたものであり、アバ板には自身を観測者だと名乗る投稿が数多く寄せられ、彼らの存在や能力にも言及されている。
[観測者]は現実世界に強い絆[しがらみ]を持つが、その対象は基本的に虚構世界に存在しない。故に現実を取り戻すために思案し、行動することとなるだろう。
[観測者]は、現実の歪み、虚構による侵蝕を感じ取ることができるが、歪みがある程度大きくなった場合のみに限られる。ときとして、感じ取る力は歪みとの共鳴を生み、観測者の中の虚構を大きくする。
また[観測者]は多少なりとも虚構の力を持ち合わせている。虚構の力は大きく分けて2種類存在し、ひとつはフィクションカード、もうひとつはフィクションパワーとして顕現する。
フィクションカードとは虚構世界を観測者の望む形に変えることのできる力だが、観測者自身がその能力の存在を認識することはできない。
フィクションパワーは虚構世界の中でのみ発揮できる超常的な能力であり、映画の登場人物のような活躍を可能とする。この力に関しては観測者自身も認識でき、ゲーム世界内でもフィクションパワーと呼称されている。
[観測者]はすべての虚構侵蝕を認識できるわけではなく、とある虚構侵蝕では観測者だった者であっても、また別の虚構侵蝕においては侵蝕の影響を受ける一般人となる場合がある。
現状においては観測者同士を繋ぐネットワークなどというものは存在しないが、VER-TH内のアンダーグラウンドなBBSやVRチャットなどを使って交流が行なわれる場合もある。しかし“当然のことながら”書き込んだ主が本物の観測者であるという保証はない。
観測者になる条件は明確にされていないが、すべての観測者は虚構侵蝕かVER-THに触れた経験がある。VER-THに関しては使用したことが無くても構わない。
虚構世界には、虚構の具現化――すなわち虚構侵蝕が発生するきっかけとなった[虚構核]が存在する。[虚構核]とは、現実世界で強い想いを抱いた人や、強い想いが込められた場所や物などであり、想いこそが虚構の侵蝕を引き起こす。
虚構核を破壊・変質・説得させることで虚構侵蝕は解除され、現実世界を取り戻すことができる。しかし、虚構世界において虚構核は強い虚構の力を宿しており、ときに神や悪魔と呼べるほどの能力を有することもある。もし現実を求める観測者の前に立ちはだかるならば、非常に恐ろしい障害となり得るだろう。
虚構核はあくまで虚構侵蝕のトリガーであり原因そのものではないため、虚構核の知り得ない映画をモチーフとした虚構侵蝕が発生する場合もあり得る。虚構核にとって不利な状況の虚構侵蝕も存在するのだ。
虚構核の名称もまた例にもれず、アバ板で役割や能力が言及される中で決められた。
全世界で10億人以上ものユーザーが利用するソーシャルプラットフォームである[VER-TH]は、日本に本社を置く同名の多国籍企業が運営する。
WEB検索、動画配信、SNS、BBS(掲示板)、VRスペース、クラウドデータ管理、地図、専用スマートフォン販売など多種多様な機能を持ち、人々の生活に浸透している。
虚構世界においても現実と変わらぬ存在を保つ“アンカー”のひとつ。それゆえ、虚構世界から現実へアクセスが可能で、“現実の情報検索”や“現実への配信”が行なえる。
VER-THの詳細な説明は「VER-TH」を参照してほしい。
虚構侵蝕が虚構世界とともに生み出す現実には存在しない、意志あるモノ。
虚構体の存在自体はアバ板を通じて知られてはいるが、怪物、サイボーグ、幽霊、普通の人間など、どのような姿や能力になるかは虚構侵蝕ごとに違うため、詳細は知られていない。
虚構体は虚構世界の維持にとって重要な役割を与えられることが多く、観測者が世界に従順な間は味方になることもあるが、彼らが世界の法則に反するものだと分かった場合敵対することもある。虚構の力を多く秘めていることから、その場合は強力な障害となるだろう。
虚構体の中には、まれに観測者を通じて世界の在り方に気づき、虚構体観測者となる者もいる。
だが現実にしがらみを持たない虚構体観測者は、虚構世界が消えると自身も消えてしまうため、現実を求める観測者に対し激しい抵抗をするだろう。
自分が消えることを承知したうえで、現実を取り戻すために協力する者も、まれに存在する。
基本的に観測者たちは現実世界から虚構世界へとアクセスしているが、虚構世界同士を行き来する能力を持った虚構体は、虚構世界を挟んで現実世界の反対側にある“裏側”もしくは“虚構裏”からアクセスしている。
舞台演劇に例えるなら“観客席=現実世界”、“舞台上=虚構世界”、“舞台裏=虚構裏”といえる。
現実世界からは直接見ることも移動することも叶わない虚構の向こう側、それが“虚構裏”である。
現在判明している、虚構裏がもつ機能の一部の以下に提示する。